国内の空白市場を埋める「オールジャパン構想」
圧倒的な生産体制を確立した末澤さんだが、その視線は香川県内にとどまらない。
前編で触れた通り、日本の行政には地域でノウハウやオリジナル品種を囲い込む「タコツボ化」の壁があった。しかし、毎月7500トンもの国内の空白市場を埋め、海外勢に対抗するためには、地域を越えた連携が不可欠だ。
そこで末澤さんは、自ら開発した栽培技術とノウハウを持って県外へ飛び出した。現在、全国の意欲あるアグリベンチャーや農家と連携。北関東から沖縄に至るまで「オールジャパン」のコンソーシアムを組み、栽培技術やノウハウを提供することで、国内の巨大な空白市場を全国の仲間と共に自らの手で埋め尽くすプロジェクトを推し進めているのだ。
次世代へ託す「種まき」と、日本農業の生存戦略
70歳を迎えた末澤さんだが、その視線はすでに「次世代」へと向けられている。
「品種開発からビジネス構築までを担える次世代の人材育成にも力を注いでいます。私たちが蒔いた種を、彼らがどう育ててくれるのか楽しみです。彼らのためにも私は農業を稼げる仕事にしたい。いまは時給6000円ですが、目標は高収入で有名なキーエンスを超えることです。徹底した効率化とスマート技術でそれも夢ではないと思っています。その目標達成のチャレンジに若い人たちの力が欲しいです」
末澤さんの挑戦は、日本の果樹農業の一つの可能性を示していると言えるだろう。



