世界で指摘される「卵子凍結の弊害」

不妊治療の保険適用拡大などもありましたが、全体の出生数・出生率への寄与は極めて限定的です。もちろん、そうした悩みを抱える夫婦にとっては「救い」であり、否定はしませんが、それもすでに「婚姻したカップル」対象の政策です。

また、卵子凍結の支援についても、将来的な第一子出生の可能性を残すという意味とはいえ、むしろ「凍結したからとりあえず安心」という結婚そのものへの先送りを助長します。その弊害は海外の専門家含め指摘されています。

困っている人に対する手当という意味では評価はできますが、どうも本質をあえて「見ないフリ」をして、とりあえず二次的な対処ばかりをしている印象です。たとえるなら、「おなかが痛いと訴える患者に対して痛み止めの薬を処方するだけで本当の痛みの原因を治療しようとしない」または「家が雨漏りしているのに、バケツを置いて水を受けるだけで、屋根を直さない」のようなものです。

それは、本質的な問題の解決にならないばかりか、そうした目先の対処法だけを続けていれば、必ずのちに重病化や家の倒壊という深刻な事態を招くだけです。今の少子化対策がいかに的外れなのかがわかるでしょう。

「晩婚化」という政府・マスコミの嘘

さらには、事実認識においても頓珍漢なことが多い。

初婚減は当然ながら未婚化によるものなのですが、相変わらず政府文書やメディアの報道では「晩婚化」などという言葉が出てきます。これは一見、もっともらしく聞こえますが、事実として今は晩婚化など起きていません。

確かに、晩婚化があった時期はありました。ちょうど2005~2015年あたりにおいては、20代の初婚が激減した中でも30代以上の初婚が若干増えたことで全体の減少幅を抑制していました。しかし、もうそんな現象は起きていません。厳しい言い方をすれば、いまだに「晩婚化」などと言っているのなら、あまりにお粗末です。

以下のグラフは、男女年齢別の初婚率を2015年を基準点として、前後2000~2024年までの増減推移を示したものです。

【図表1】男女年齢別初婚率推移

男女とも20代は一貫して減少し続けていますが、30代は2015年までは上昇基調にありました。この期間までは確かに「晩婚化」と呼んでもいいでしょう。

しかし、その後、特に女性に関しては、急上昇した30代の初婚率も2015年以降は急降下し、20代の減少と同じ推移を辿っています。女性30~34歳で言えば、2000→2015年にかけて初婚率は24%上昇しましたが、2015→2024年にかけては30%も減少しています。

つまりは、2024年の30~34歳の初婚率は2000年の初婚率すら下回っているということです。これは35~39歳でも同様です。2015年以降の日本で起きているのは、晩婚化ではなく、全体の初婚減=未婚化なのです。