なぜ「中間層」に目を向けないのか
ここで重要なのは、決して貧困になったからではないことです。あくまで中間層であり、年収も中央値のレベルであるにもかかわらず、「中央値年収では結婚できなくなった」ことにあります。中央値でできないなら未婚率は50%以上になります。
最近「20代の持ち家率が過去最高になった」というニュースが話題となりました。家計調査のデータを基に、二人以上世帯の20代以下の世帯の持ち家率が、2000年19.7%から2025年40.7%と大きく伸長したというわけですが、これはあくまで二人以上の世帯、つまり結婚した夫婦世帯に限った話です。
20代夫婦の持ち家率があがっているとはいえ、そもそも20代での婚姻数は減少している。むしろ、これは、持ち家を買えるような経済的に余裕のある層しか20代のうちには結婚できない状況を示しています。
「普通の崩壊」が起きている異常
一事が万事、政府の政策もメディアの報道も、不気味なくらい中間層の若者を透明化します。晩婚化などはないのにいつまでも晩婚化と言い続けます。少子化とは結婚した夫婦の出生数が減っているのではなく、若者の初婚数が減って第一子が産まれてないことという本質的な問題を伝えません。そして、未婚化は「若者の価値観の変化だ」などと逃げるわけです。
一方で、共働きだ、育休だ、保育の無償化だ、ベビーシッターだ、とすでに結婚できている経済上位3割層にだけ恩恵のあることばかり実施します。
すべてが的外れになっており、少子化など改善するわけがありません。
何も上位3割層の足を引っ張ろうというのではなく、子育て支援をやめるべきと言いたいわけでもありません。が、今起きているのは「普通の崩壊」です。普通に働いて普通の年収を得る若者が普通に結婚して家族を持てるという「普通」が崩壊しています。普通が普通ではなくなる異常性こそ一番の課題であり、そこをいつまでも無視しているわけにはいかないのではないでしょうか。

