ヒット作には必ず「チャップリンとディズニー」がある
わたしが曲を聞きながら思い出していたのは永島達司さん、ムッシュかまやつさんが教えてくれたこと。ふたりともに同じ内容のことを語っていた。
ある時、永島さんはこんなことを言った。永島さんはビートルズの伝説的な来日公演の立役者で、キョードー東京の創立者である。映画のプロデュースをしたこともある。
「アメリカの映画プロデューサーから教わったのだが、ヒットする映画はチャップリンとウォルト・ディズニーの要素が必ず入っている。スピルバーグの映画なんて、まさにそうだよ」
そう言われてみれば確かにその通り。『ジョーズ』『E.T.』『ジュラシックパーク』『プライベート・ライアン』『シンドラーのリスト』などスピルバーグ作品にはディズニー映画が持つ夢、冒険の要素とチャップリンの映画が持つ人生への洞察と哀しみが入り交じっている。ふたりの持つ要素が入ったことで、スピルバーグの映画作品は世界へ輸出されるソフトコンテンツになった。チャップリンとウォルト・ディズニーの要素が混じったソフトコンテンツは世界商品になりうる。
サプライズでマイトガイ・小林旭が登場
その後、しばらくして、わたしはムッシュかまやつさんと港区・飯倉のイタリアンレストラン「キャンティ」で会った。その時「永島さんがこんなことを言ってましたよ」とムッシュかまやつさんに伝えた。すると、かまやつさんは「映画だけじゃないよ。チャップリンとディズニーの音楽に影響されているアメリカのミュージシャンは多いんだ」と言った。
「だって、フィル・スペクターのサウンドってディズニーの映画音楽と似ているでしょう」
永島さん、ムッシュかまやつさんが言ったチャップリンとウォルト・ディズニーの影響は大滝詠一さんにも感じられる。チャップリンの映画からは笑い、ペーソス、切なさを取り入れたようであり、ディズニーの音楽からは夢、冒険、勇気、詩情を感じるメロディを受け継いでいるのではないか。
つまり、大滝詠一さんは日本音楽界におけるスピルバーグみたいな存在だ。彼が創造した音楽にはチャップリン、ディズニーの要素が入っている。
わたしはそんなことを頭に浮かべながら、稲垣潤一が歌う「バチェラー・ガール」「風立ちぬ」を聴いていた。
その時である。思考を打ち破る厚みのあるサウンドが流れてきた。そして舞台袖からは大柄な人が白いスーツ姿で出てきた。「オッス」とは言わなかったが、手を挙げて出てきた。それはまぎれもなく日活の映画スター、マイトガイ、小林旭だったのである。

