株式市場に認知されないと意味がない
【藤吉】そのパイロットが、どこかに改善余地があるということですよね。スパークスさんとしてエンゲージメントしたい部分というのはどこなんでしょうか?
【阿部】ここは、これまでIR活動をほとんどやってこなかったんです。最近まで決算説明会さえやっていなかったぐらいで。だから我々としては「もっとIRを活発にして株式市場と対話しましょう」ということを経営陣に言い続けました。そのかいあって最近、専属のIRチームができて、初めて決算説明会もやって、株式市場と対話を始めたというところです。
【藤吉】いくらいい会社でも株式市場に認知されないと意味がないですね。でも、パイロットのように独自の技術力をもっていて世界的なブランド力もあるのに市場に向けては何もやってないという会社は、実は日本には多い気がします。
日本企業を狙うアクティビストたち
【阿部】そういう日本企業は顧客満足度も高いし、従業員には老舗で働いているという誇りがあるし、財務もいいから銀行も満足。みんなWin-Winなんだからいいじゃないか、ということになりがちなんですよね。
問題は、株主も会社のステークホルダーなんだという視点が抜け落ちていることです。だから株主が経営に口を出すと、「なんかウルさいのが寄ってきた」みたいな扱いを受けるんですが、株主を軽視している限り、その企業の株価はずっと低いままで、その結果、内部留保を狙ったアクティビストなどに買収されてしまうことになりかねません。
【藤吉】金融庁がスチュワードシップということを言いだした背景には、株主と企業が緊密に協力し企業価値を上げることが、結果的にアクティビストからの企業防衛にもなるという意味合いもあるわけですね。
【阿部】それはあると思いますね。一般的なアクティビストというのは「Bad to Normal」で課題のある会社を株主権の行使によって普通の会社にすることでエグジット(資金回収)します。
それに対して我々のファンドは「Good to Great」、つまり優良企業をさらに素晴らしくするという発想で、企業価値を高めることを目指しています。そのための対話であり、エンゲージメントなんです。
