資さんうどんの本質とは

すかいらーくグループでは全国10カ所にセントラルキッチンを擁し、ガストをはじめとした多くの業態の一括生産を行っている。やろうと思えば資さんうどんでもこのセントラルキッチンを活用し、うどんの出汁の一括生産は可能だった。

それでも、崎田氏は効率化ではなく、これまでと変わらず「店舗ごとに出汁をとる」ことを選んだ背景には、50年続いてきた資さんうどんの本質はどこにあるか、という問いがある。

「手作りの出汁っておいしいんですよ。出汁の風味がグッときて。おいしいものの究極って、やっぱり店でとった出汁だと思います」

本質は「出汁のうまさ」にある。崎田氏はそう確信し、すかいらーくにおいても資さんうどんが創業時から大切にしてきたものを続けることを決めた。

そこで課題になるのが品質だ。これだけの店舗数がある中で、すべてを全く同じにするのは難しい。

「店舗によって水も違いますし、スタッフの習熟度でも変化する。出汁をとってからの時間経過によっても味は変わってきます」

崎田氏の考え方としては、多少のブレは出てしまう。だが、その幅をいかに小さくするか、ということに焦点を置いた。

「資さんうどん」で人気という“肉ごぼ天うどん”
撮影=プレジデントオンライン編集部
「資さんうどん」で人気という“肉ごぼ天うどん”

数値だけではなく、最後は社員の評価

「すかいらーくは数値化の企業です。水質から気温、湿度といった店舗の環境から出汁の塩分濃度まであらゆる数値を把握し、品質をコントロールする。だからといって資さんうどんの出汁は『数値が適正範囲内だったらOK』にはしていないです。やっぱり最終的に人が食べたときの感覚が大事になります。熟練の社員の舌による評価を必ず加味し、絶えずお客様に納得いただけるものを目指しています」

もちろんうどんで大事なのは出汁だけでない。麺についても試行錯誤を重ねている。

資さんうどんの麺は、いわゆるコシとは違う。やわらかさとしなやかさを併せ持った独自の食感だ。これも資さんうどんが大切に守ってきた点だ。

全国で資さんうどんが展開していく中で、筆者が疑問に思ったのが、このちょっと柔い麺は全国に通用するのかということだ。かつての讃岐うどんブームにより「うどんのおいしさ=コシ」というイメージを持っている人も多い。資さんうどんの麺は、それとはまた異なる独自の食感だ。

その疑問に崎田氏は「うどんのコシっていつからですか? ある時からですよね」と逆説的に問いかける。