エネルギー協力強化で合意したロシアとASEAN

ロシアとASEAN(東南アジア諸国連合)諸国が接近している。ロシア中部の都市カザンで6月17日から19日の3日間、ロシア・ASEAN首脳会議が開催され、エネルギー分野での協力、ならびにデジタル経済や金融分野での連携の強化を謳う「カザン宣言」が採択された。その背景には石油やガスを巡る双方の利害の一致があるようだ。

2026年6月18日タタールスタン共和国カザンで開催されたロシア・ASEANサミットにて、ラオスのソネサイ首相、マレーシアのアンワル首相、マルコス・フィリピン大統領、プーチン大統領、シンガポールのウォン首相、タイのアヌティン首相、東ティモールのグスマン首相
写真=EPA/MIKHAIL METZEL/SPUTNIK/KREMLIN POOL/時事通信フォト
2026年6月18日タタールスタン共和国カザンで開催されたロシア・ASEANサミットにて、ラオスのソネサイ首相、マレーシアのアンワル首相、マルコス・フィリピン大統領、プーチン大統領、シンガポールのウォン首相、タイのアヌティン首相、東ティモールのグスマン首相

需要サイドであるASEAN諸国は、これまで中東産の石油やガスに依存していたが、ゆえにイラン発のエネルギーショックを受けたことで、その悪影響を強く被る事態となっている。そのためASEAN諸国は、石油やガスの輸入の多角化の観点からロシアに接近。これには米国による対ロ制裁の一時緩和も、その追い風になったと考えられる。

供給サイドであるロシアには、大きく分けて2つの意味があると推察される。1つが経済安全保障の観点であり、要するに石油やガスの輸出の多角化だ。石油やガスの輸出は、その実として中国への依存を強めている。高まった対中依存度を引き下げ、多角化を図るうえでは、ロシアはASEAN諸国を有望な需要家だと認識しているのだろう。

もう1つが、国際政治の観点だ。要するに、ASEAN諸国との友好関係を強調することで、“大国ロシア”が健在だという姿を内外にアピールする目的があるとみられる。ウクライナとの戦争で主要国から排除されたロシアだが、国際社会においては孤立していないどころか、新興国を束ねるリーダーとしての地位は安泰だというアピールだ。

もちろん、中国に対する牽制も多分に含まれているだろう。経済的には中国にのみ込まれつつある以上、中国と一定の緊張関係を持たなければ、政治的に対等の存在にはなり得ない。こうした大国ロシアの存在をアピールすることで、国内の有権者の支持の回復にもつながる。いかにもウラジーミル・プーチン大統領が好む外交手法だと言えよう。

ロシアにとっては「外貨の流出先」

ここで、現状のロシアとASEAN諸国の貿易動向を確認してみたい。ASEANは経済規模が大きい5カ国(アルファベット順にインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)に限定してある。さて、まずロシアの対ASEAN5向けの貿易額を確認すると、2023年から2025年の平均額は輸出入合計で160億米ドル弱だった(図表1)。

【図表】ロシアの対ASEAN5向け貿易(2023~2025年平均)
出所=国際通貨基金(IMF)