同期間のロシアの貿易総額は6815億米ドルだったから、ASEAN5向けの割合はわずか2%程度に過ぎない。一方、中国向けの輸出入はロシアの貿易の3割強を占める規模にまで拡大しているから、ロシアにとってASEANとの貿易は、拡大の余地が大きいとも言えるし、そもそも貿易の主な対象ではなかったという事実を浮き彫りにする。

また国別にはばらつきがあり、最も多いベトナムで60億米ドル程度だが、最も少ないフィリピンでは3億米ドル程度に過ぎない。またマレーシアを除く4カ国に関しては、ロシアの輸入超過であるため、ASEAN5カ国全体でも貿易赤字となる。ロシアからすると、ASEAN諸国は外貨の獲得先というより、外貨の流出先だったというわけだ。

比大統領は2026年6月18日、ロシアとASEANが対話パートナーシップの35周年を記念し、今後数年にわたり両者間の協力を形作り、強化すべき主要な優先事項を強調した
比大統領は2026年6月18日、ロシアとASEANが対話パートナーシップの35周年を記念し、今後数年にわたり両者間の協力を形作り、強化すべき主要な優先事項を強調した(写真=フィリピン大統領広報室/PD-PhilippinesGov/ウィキメディアコモンズ

貿易はまだまだ限定的

ロシアから石油やガスの輸出が増えれば、ロシアにとってASEAN諸国は外貨流出先から外貨獲得先に一転する。ASEAN各国から、流動性の高い人民元資金を吸収できればロシアにとって好都合だ。ルーブル決済の拡大も目論みたいところだが、ロシアとの貿易にしか用いることができないルーブルでASEAN諸国が決済に応じるかは謎だ。