「専門用語が多くて説明がわからなかった」

2025年に実施された試験問題の中に、ある疾患で入院した50代の男性の、自分が入院した際の気持ちや医者に対する感想が紹介され、事例から読み取れる医療の質の問題を問うていました。

2025年の医師国家試験に出題された問題

以下は,50歳の男性が,ある疾患で入院し,退院後に語った内容である.
「先日,ある病気になって入院したんです.2週間くらいだるさが続いたので,かかりつけの診療所を受診したら総合病院に紹介してくれました.総合病院を受診したら,すぐに入院するよう言われて.ちょっと風邪が長引いているのかな,くらいの軽い気持ちで受診したので,気が動転してしまって,何がなんだかわからないまま入院になりました.入院後は,血液や尿の検査,CTなどの検査を受けて,診断がついて,点滴で治療を受けて良くなりました.適切な診断と治療をしてくださった医師や入院生活を支えてくださった医療スタッフの皆さんには感謝しています.
ただ,少し不満もあって,総合病院を受診したときに,医師の話がよく理解できなくて,状況がのみ込めずに不安でした.入院という言葉で気が動転してしまった上に,医師が専門用語をたくさん使うので,頭が混乱してしまいました.医師には患者の心理状態や理解力にも気を配って欲しいと思いました.
あと,入院したことで仕事への心配もありました.総合病院では,まず病気を治すことが最優先だと言われ,仕事に関する相談にもあまり応じてもらえませんでした.適切に治療してくださって,今は元気になったので,贅沢な悩みかもしれませんが……」

この事例で,問題があった医療の質の要素はどれか.
a 安全性
b 公平性
c 適時性
d 有効性
e 患者中心性
出典:厚生労働省『第119回医師国家試験問題及び正答について』(B問題34番)

同業者でも診てもらいたくない医者がいる

患者さんの接遇について国家試験にも出るようになったのだなと少し驚きましたが、こうした医療サービスが重視されるのは喜ばしいことだと思っています。ただ一方で、患者さんへの対応も「言われなければ分からない」医者が多いということも実感させられました。

医師の後ろ姿
写真=iStock.com/visualspace
※写真はイメージです

私自身、25年医者として働いてきた中で、残念ながら「この医者には診てもらいたくない」と思う同業者に何度も遭遇してきました。医師免許を持っている以上、どの医者も同じレベルだと思われがちですが、現実は大きく異なります。

医者の技術や人格には、想像以上の格差があるのです。

この格差を見抜けずに「ハズレ」の医者にかかってしまうと、適切な治療を受けられないどころか、病気が悪化したり、不要な苦痛を味わったりする可能性があります。