「Mitene」=「マイトニー?」「ミトゥン?」
ところが、海を越えたとたんに最初の壁が立ちはだかる。サービス名だ。「みてね」をアルファベットで「Mitene」と表記すると、海外では読み方がバラつくのだ。
「Miteneと書いてあると、『マイトニー』と読む人もいれば、『ミトゥン』と読む人もいる。読み方がバラバラでは口コミが広がりにくいし、綴りがわからなければiPhoneのApp Storeなどでも検索されにくいんです」
ただ、「みてね」というネーミングには愛着がある。「Uniqlo(ユニクロ)」、「Yoshinoya(吉野家)」、「MUJI(無印良品)」みたいにできれば「Mitene」の文字を世界中で見たい……と1年ほど粘った笠原氏もついには折れた。ユーザーアンケートを重ねた末に「FamilyAlbum(ファミリーアルバム)」へ変更した。アプリの役割がダイレクトに伝わる名だ。
「名前が原因で海外展開に失敗したら、死んでも死にきれませんから。アンケートで否定的な意見が一番少なかったのが『FamilyAlbum』でした。名称変更してからのほうがやっぱりうまくいきました」
サービス内容への反応は、笠原氏の予想以上によかった。子どもが生まれると写真や動画をイヤというほど撮る、家族と共有したい、という気持ちに国境はなかった。
ガラパゴスも突き詰めれば「強み」に
「アメリカの西海岸と東海岸で離れて暮らしているのに、日々リアルタイムでつながるから、一緒に住んでいるみたいでうれしいという声が届きます。家族のつながりや大切にする気持ちは同じですね」
子どもの写真だけを家族で共有する専用アプリは海外にほとんど存在しなかった。目新しさだけでなく、“きめ細やかなサービス”も刺さった。
「日本人らしいこだわりが珍しかったのかもしれません。こっちには1ミリでもいいものを……という欲求がある。海外の人が日本製のウォシュレットに驚いちゃう感覚に近いかもしれません」
過剰に見える機能も、実際に使ってみれば理由がわかる。家族の日常にぴったり合っているのだ。操作が細かすぎるといった不満はなく、むしろ「こういうのが欲しかった」という声が返ってきた。
ガラパゴス化と揶揄されがちな日本人らしいこだわりは、突き詰めればアプリの世界でも差別化要因になる。約4割が海外という「みてね」の実績が物語っている。しかし現状では満足しない。笠原氏はさらなる構想を描いている。

