「足あと」機能が受け継がれている
「ほんのりお互いの存在が確認し合えるっていうのが、いいところじゃないかなと思っていまして。mixiの『足あと』機能と同じです」
ただし、笠原氏が否定したのは「単純なハートマークのいいね」に限られる。「かわいいね」「よかったね」「お疲れさま」――そんな気持ちを伝えるステッカー機能は、あえて実装した。メッセージ性があり、温かみが伝わるからだ。義務感で押す「いいね」ではなく、言葉の代わりになるスタンプがいいと笠原氏は考えた。
「みてね」は家族だけが集まる空間。子どもの大ファンしかいない。だからこそ機能する繊細な設計。“つながり”に敏感な笠原氏の真骨頂だ。
「視聴率100%の番組をつくっているみたいという人もいます。おばあちゃんやおじいちゃんが遠くに住んでいても、毎日つながっている感覚でいられるのは大切ですね」
多くのSNSが機能を増やしつづけるなか、「みてね」はむしろ削ることで居心地のよさをつくってきた。日本的ともいえる“きめ細やかな設計”は、やがて海外ユーザーにも受け入れられるようになる。
グローバル展開の背景に「mixiの教訓」
「みてね」の海外展開は2017年にスタートした。国内で手応えが確認できたら、すぐ準備に動いた。笠原氏は早い段階から海外市場へ目を向けていた。
「日本国内でいくら勝者になっても、グローバルの強豪プレーヤーが上陸してきたら勝てない。海外も含めて数多くのユーザーを早期につかみたいという考えがありました」
笠原氏の危機感は、mixiの歴史を思い起こさせる。パソコン時代のSNSでは国内最大だったmixiも、2010年代に入ってスマホが普及し、フェイスブック、ツイッター(現・X)、インスタグラムなどの海外勢が上陸したことで急速に勢いを失った。国内王者もスマホ化の波、メガテックの波には勝てなかったからだ。
ただし笠原氏を動かしたのは、戦略的な計算だけではない。
「単純にロマンがある」
照れくさそうな笑顔で語った。自分のアプリが世界中で使われることを望むのは、発案者として当然のことだ。国内市場しか見ないドメスティック志向は、堅実ではあっても夢がない。

