国際秩序すら無視し始めたアメリカ

――アメリカの歴代政権にも問題はありましたが、それらと比べてもトランプ政権はあまりに稚拙に見えます。これはアメリカの衰退の象徴なのか、それともトランプ現象として見るべきなのでしょうか。

【千々和】トランプ大統領の特異なキャラクターゆえとも思いますが、一方でトランプ大統領の誕生はアメリカの空気の反映でもありますよね。

そもそも「トランプ流」というのがいわゆるモンロー主義的なものを指すのか、今回のような楽観主義に基づく西半球以外での軍事行動を含むものも指すのか、理解に苦しむところがあります。

ただ一つ言えるのはこれまでもさまざまな問題は指摘されながらも、一応は国際秩序や国際法、国連決議などを重んじてきたアメリカが、そうした体面も取らなくなってきたということです。それにより、アメリカに対する国際社会の信頼が失われつつあります。

アメリカの姿勢が一時的な逸脱なのか、あるいは長期的な趨勢なのかはよくよく見極める必要がありますし、仮に長期的な趨勢だとするならば、アメリカを何とか国際秩序を維持する側に回帰させるように、同盟国は頑張らなければなりません。

これまでの大統領とトランプは違う

――アメリカとイランの間にはパキスタンが入って仲介しています。中国はパキスタンの仲介を高く評価し、謝意まで示していると報じられています。

【千々和】小国同士の紛争の場合は大国が仲介に入って停戦となるケースはありますが、アメリカのような大国が起こしている戦争を仲介するのは至難の業です。中国について言えば、実のところアメリカが中東でリソースを費やし、アジアへの関与が手薄になっていることを内心、喜んでいるでしょう。中国自身が仲介に乗り出すメリットはありません。

――これからのアメリカはどうなっていくのでしょうか。

【千々和】トランプ大統領の任期はあと2年余りですが、その後にバンス副大統領やルビオ国務長官が大統領に就任する可能性もあります。もし「トランプ流」を継承する後継者が誕生し、2期務めるとなればこの先10年はトランプ路線が続くことになります。

トランプ以前のアメリカの歴代政権が必ずしも理想的なリーダーだったわけではありませんが、少なくとも国際法や国際秩序を無価値なものとみなす姿勢はとっていませんでした。トランプ的な価値観のアメリカが今後も続くとなれば、日本も世界も付き合い方を考えなければなりません。

ホワイトハウス
写真=iStock.com/Artem Onoprienko
※写真はイメージです
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