英検1級合格と同じくらい胸に沁みた友の言葉

だから、黙っていたのです。

勉強をスタートしてから、仕事以外の私の家での時間の使い方や行動が変わってきたので、何か企んでいるということは途中で妻にバレていたようですが、目標が英検1級であることは、合格するまで口にしませんでした。

目標を達成するためには、周囲に公言して自分を追いこんだほうがいいか、それとも、誰にも伝えずにマイペースで努力したほうがいいか。どちらが正しいとは言えません。人には、性格の違いや向き不向きがあるからです。

でも、私と同世代かそれ以上のシニアの方が、生活のためでも収入のためでもなく、人生の新たなチャレンジとして何かを目指すのであれば、黙ったまま取り組んだほうがいいような気もします。仮にうまくいかなくても、誰にも迷惑をかけることはありませんからね。

あらかじめ逃げ道を用意しておいて、ノープレッシャーで、失敗を恐れずに、コツコツやっていきましょう。

なお、先ほどからもったいぶって述べている“ある一人”の正体は、小学生の頃からの腐れ縁が続く、幼なじみの友人です。本当に誰にも言わないのはさすがに張り合いがなかったので、なんでも話せる関係のこの友人に、電話で伝えました。

江田信久『才能やセンスは必要ない 72歳で英検1級とれた人がやっていた独学法』(KADOKAWA)
江田信久『才能やセンスは必要ない 72歳で英検1級とれた人がやっていた独学法』(KADOKAWA)

「おまえ、ばっかじゃねーのか! そんなもん、無理に決まってんだろう!」

電話の向こうで彼はこう叫び、呆れていました。

だから、合格したときはまさに「してやったり」でしたね。そして、翌年のお正月に彼から送られてきた年賀状に、こんなメッセージが書かれていました。

「相変わらず頑張るね。たいしたもんだよ」

ふだんは軽口ばかりで、お互いを褒め合うことはなく、つねにいじり合う間柄なので、この言葉は胸にしみました。英検1級に合格したのと同じくらい、うれしかったです。

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