「やりたいこと」と「英語」を結びつける方法
それまで個人的に英語の手紙など書いたことがなかったので、とても苦労しましたし、試行錯誤もしました。辞書を引き、何度も書き直し、上手とは言えない英文で「高校生のときにあなたの演奏に出会い、感動しました」とか、「今でも頻繁に聴いていて、心の支えになっています」とか、伝えたい気持ちを精一杯したためました。チェット・アトキンスへの思いがそこまで強くなければ、わざわざ英語でファンレターを書くことはなかったでしょう。
でも、好きという気持ちと彼に対する感謝の念が「英語で手紙を書くのは大変」という思いを上回りました。これも英語との距離を縮めてくれるかけがえのない出来事だったと言っていいでしょう。
みなさんが好きでやっていることや趣味は、英語との結びつきがあるでしょうか。なんらかの関連性があるようなら、「同時に楽しむ」ことをおすすめします。
とくに音楽や映画(ドラマ)は親和性が高いと思うので、ただメロディーを聴いたり、字幕スーパーの文字を追いかけたりするだけでなく、今まで以上に英語の歌詞やセリフに意識を向けてみてはいかがでしょう。
英語を勉強する際、それがプラスになることはあっても、マイナスになることは絶対にありません。
ちなみに、英語学習とは関係ない話になってしまいますが、私がチェット・アトキンスに手紙を送った約半年後に、想像だにしなかった驚きの“事件”が発生しました。
なんと、チェット・アトキンス本人から、直筆サイン入りの写真が送られてきたのです。こちらから一方的に送ったファンレターに対して、リアクションがあるとは、ましてや返信をしてくれるとは夢にも思っていなかったので、本当にびっくりしました。
以来、趣味のギターにさらに熱が入るようになったことは言うまでもありません。好きなことはとことん突き詰めてやるべきということは、間違いなく言えると思います。
「目標は周りに宣言しない」で逃げ道を作る
「自分は、何か新たな目標を達成しようと思ったら、そのことを周囲に公言するようにしています。家族とか、友人とか、会社の同僚とか。失敗したら恥ずかしいし、格好悪いですからね。そうならないために、頑張らなきゃという気持ちになりますし、実際に体も動きます。自らにプレッシャーをかけ、退路を断ち、背水の陣を敷く。そんなスタイルを貫いたほうが、絶対に成功しやすいと思うんですよ」
以前、ある知り合いがこんな話をしていました。おっしゃることはよくわかりますし、同じような考えを持っている方もたくさんいるでしょう。そして実際に、あえて周囲に公言して自分を追いこむことによって、成功を勝ち取ったり、パフォーマンスを上げたりした経験のある方は多いと思います。
しかし、これが万人に共通する成功法かといえば、私は違うと考えます。プレッシャーに弱い人や、人知れずコツコツ努力をするスタイルのほうが向いている人も、世の中には大勢いるからです。
私はどちらかというと、自分を追いこまず、マイペースで物事に取り組んだほうが、うまくいくタイプです。英検1級を目指すことは、誰かの影響を受けたり、勧めがあったりしたわけではなく、自分の判断だけで決めました。そして“ある一人”を除き、そのことは誰にも伝えませんでした。
だから、気がラクでした。
「何回落ちても、いつまで経っても合格できなくても、それを知っているのは自分だけなのだから、みっともなくはないし、バカにされることもない」
こんな感じで、肩の力を抜いて勉強に取り組むことができました。
私は現在、妻と二人暮らしをしています。子どもたちはみな独立し、別々の場所で生活を送っています。
この事実をみなさんに伝えると、先ほど触れた“ある一人”は「おそらく奥さんだろう」と思うことでしょう。
本書の冒頭で述べたとおり、違います。英検1級を目指すことを、妻にはいっさい伝えませんでした。宣言をしたところで、怪訝な表情を浮かべ、「何も、わざわざ疲れることをやらなくてもいいんじゃない?」と、ぼそっと言われるに決まっています。

