日本では高額療養費制度があって、いくら治療費がかかっても一定額以上の負担は求められない。しかし、中国の医療保険はその逆で、保険の給付上限が決められている。「地域によって差はあるものの、都市部の勤労者で年間30万元(1元=約16.4円)程度、非勤労者が10万元程度。農村の場合5万~6万元程度が目安です」(李さん)という。一方の治療費は、心臓病で7万元前後、脳腫瘍では10万元以上もかかり、農村戸籍の人にとってはかなりきつい。

「しかも必ず上限額の分まで給付してくれるかというと、多くの場合そうではありません。結局、重い自己負担を強いられてしまうのです」と宮本さんはいう。治療費の支払いについても注意が必要で、取りはぐれを防止するために病院は、診療の前に現金で医療費の支払いを求める。結局、事前に借金をせざるをえなくなり、仮に保険の給付を受けたとしても、その返済に追われる恐れが十分にあるのだ。

窓口での自己負担割合のアップなど、日本の医療保険制度は見直しが進められているが、それでもまだ均質で高いレベルの医療をいつでも、どこでも受けられる。冒頭の原田さんは「やっぱり日本の制度が1番だと思います」と溜め息交じりに話す。