食塩ゼロでも塩分が出る理由

もう1つ、誤解が生じやすい表現に「塩分」があります。

日常の会話のなかでは食塩とほぼ同じ意味で使われますが、正確には、塩分とはミネラル全般を指します。

高血圧の患者さんで日頃から減塩を心がけている場合、「みそ汁の塩分濃度は何%か?」など、食事を塩分計で測っている方もいるでしょう。塩分計が測定するのは、食塩またはナトリウムの濃度だと思われやすいのですが、実は、ナトリウムだけではなく、マグネシウムやカリウム、カルシウムなども含めたミネラル全体の濃度です。

以前に、食塩ゼロの我が家の無塩鍋を塩分計で測ったところ、0.3%と出ました。食塩をまったく使っていないのに予想以上に高いなと不思議に思い、詳しく分析すると、ナトリウムは0.15%で、カリウムが0.15%ありました。

食塩計ではなく塩分計なので、ナトリウム以外のミネラルにも反応してやや高く出るのは当たり前だったのです。

腎臓にはナトリウムを「再吸収」する仕組み

体がミネラル不足に陥らないように、私たちの体には、ナトリウムをはじめとしたミネラルの濃度を調節する仕組みが備わっています。それを担うのが腎臓です。

腎臓には大切な役割が2つあります。

1つは、老廃物を出すこと。血液をろ過して、体にとって不要になった老廃物や余分な水分を尿として体の外に排泄します。

老廃物を出す働きを担うのは、数ある臓器のなかでも肝臓と腎臓だけです。肝臓で解毒されるものもあれば、腎臓でしか排泄されない有害物質もあります。だから、肝臓も腎臓も肝腎(肝心)かなめのとても大切な臓器です。腎臓からいらないものを排泄できなければ、血液中に不要なものがたまり、尿毒症という病気になってしまいます。

もう1つの腎臓が担う大事な役割が、体液のコントロールです。体液が増えすぎればむくみ、減りすぎると脱水になります。ちょうどいい塩梅に保つためのコントロールセンターが腎臓なのです。

青い背景に腎臓の形をした紙を手に持つ
写真=iStock.com/Phira Phonruewiangphing
※写真はイメージです

そして、腎臓がどうやって体液量を一定に保っているのかというと、ナトリウムをはじめとしたミネラルを出し入れすることで調整しています。とりすぎた分は尿に流し、足りない分は再吸収することで、それぞれのミネラルの濃度を調節し、体内の水分量を一定に保っているのです。

ですから、いったん、ろ過したあとで、必要なナトリウムはしっかり再吸収して血液に戻しています。