国防相経験者への「死刑判決」が意味するもの

世界最強を演じる指導者が、北京を離れられない理由はいくつかある。最大のものは、習近平氏が権力の拠り所である人民解放軍を完全に掌握できていないことだ。

象徴的なのが、2026年5月7日に下された元国防相2人への判決である。中国の軍事法院は、元国防相の魏鳳和氏(収賄罪)と、後任の李尚福氏(収賄罪および贈賄罪)に対し、執行猶予2年付きの死刑判決を言い渡した。政治的権利の永久剥奪、全財産の没収を伴う。魏鳳和は核ミサイル部隊を統括するロケット軍の初代司令官として巨大な軍予算を握り、李尚福は装備発展部長として兵器調達の利権を掌握した人物だ。いずれも習近平氏自身がみずから抜擢した腹心中の腹心である。

執行猶予つき死刑は、2年後に無期懲役へ減刑されるのが通例。だが、今回は減刑後の仮釈放が一切認められない条件がついた。実質的な終身刑である。