「4~6月は残業しない方が得」は本当か

4~6月に残業して標準報酬月額が上がれば、社会保険料が上がって9月以降の手取りが減ります。手取りが減る点にだけ注目すれば、デメリットと感じるかもしれません。しかし、標準報酬月額が上がることには、次のようなメリットもあります。

①老齢厚生年金が増える

老後にもらえる公的年金は、国民年金から支給される老齢基礎年金が基礎となり、会社員などはこれに上乗せして老齢厚生年金を受け取れます。標準報酬月額が上がれば、もらえる老齢厚生年金の額が増えることになります。

老齢厚生年金の主要な部分は、加入期間中の平均月収(平均標準報酬額)をもとに計算する「報酬比例部分」です。標準報酬月額が上がると平均標準報酬額も増え、老齢厚生年金が増えます。

平均標準報酬額の増加によりどれくらい年金が増えるのかをみてみましょう。図表2は、40年厚生年金に加入した会社員のケースです。経過的加算・加給年金等を考慮しない老齢厚生年金の概算額になります。

【図表2】平均標準報酬額と年金の増加額

平均標準報酬額が10万円上がると、年額で10万円以上年金が増えることがわかります。公的年金は終身年金であるため、増えた分を一生涯もらえます。長生きする可能性を考えると、年金額はできるだけ増やすにこしたことはありません。標準報酬月額が上がれば、年金が増えて老後の安心感が大きくなります。

万一の保障が厚くなるメリットも

②遺族厚生年金・障害厚生年金が増える

厚生年金加入により受けられる保障には、老齢厚生年金以外に、遺族厚生年金や障害厚生年金もあります。遺族厚生年金とは亡くなったときに遺族に支給される年金、障害厚生年金とは病気やケガで障害状態になったときに受け取れる年金です。標準報酬月額が上がれば、遺族厚生年金や障害厚生年金の額も増えます。

遺族厚生年金や障害厚生年金は、厚生年金の「報酬比例部分」を基準に算出します。標準報酬月額が上がることにより、万一の場合の保障も手厚くなります。

③傷病手当金の金額が増える

標準報酬月額が上がれば、健康保険から受けられる傷病手当金の額も増えます。傷病手当金とは、健康保険の被保険者が病気やケガで連続して3日以上会社を休み、4日目以降も休業した場合、生活保障として支給されるお金です。要件を満たす場合には、標準報酬月額から算出した1日当たりの給与額の3分の2の金額を、最大1年6カ月間受給できます。

標準報酬月額30万円と34万円で、傷病手当金を比較してみましょう。30万円の場合の日額は6667円、34万円の場合の日額は7553円です。日額ではわずかの違いに思えますが、1カ月あたり2万円以上の差となります。

病気やケガでやむを得ず休職しなければならない場合、傷病手当金を多くもらえれば心強いはずです。標準報酬月額を上げれば、病気やケガで休職する場合にも備えられます。

④出産手当金が増える

出産手当金は、産休中の生活保障として健康保険から支給されるお金です。出産手当金も傷病手当金と同様、標準報酬月額から計算した1日あたりの給与額を基準に金額が決まります。標準報酬月額が高いほど、出産手当金も多くもらえます。