「CPUが足りない」…AI特需で価格が30%上昇との予測も

この急速な需要拡大は、販売数量の増加のみならず単価の上昇にもつながっている。

インテルをはじめとするCPUメーカーの生産能力は足元の需要拡大ペースに追いついていないのが実情で、業界関係者の証言として報じられたところによれば、サーバー向けCPUのリードタイム(発注から納品までの期間)は従来の1〜2週間から、最大で半年近くにまで長期化、2026年生産分はすでにほぼ完売状態にあるという。

この極端な需給逼迫を受けてインテルは年初より段階的な価格引き上げを実施しており、2026年の累積値上げ幅は前年比で最大30%に達するとの観測も示されている。

現在のCPU市場では、長年のライバルである米AMDがじわじわとシェアを拡大しているほか、半導体設計分野のトップ企業である英アームも満を持して自社製CPUの販売に乗り出すなど、インテルの存在感はかつてほど圧倒的ではない。

しかし、4月にはGoogleが次世代AIインフラの開発におけるインテル製CPUの採用、および複数年にわたる協業拡大を発表するなど、依然として重要な地位を占めていることは間違いない。そんなインテルが、CPU需要急増の恩恵を最も大きく受ける企業の一つであることは疑う余地がないだろう。

【図表2】インテルの売上高・最終損益の推移
筆者作成

ファウンドリ部門に明るい兆し

要因その② ファウンドリ部門の歩留まり改善と超大型顧客の獲得

二つ目は、長年にわたりインテルの最大の悩みであった「ファウンドリ部門の顧客獲得」について、ようやく明るい兆しが見えてきたことだ。

インテルCEOリップ・ブー・タン氏
インテルCEOリップ・ブー・タン氏(写真=Howard Lutnick in X/United States Department of Commerce/PD US DOC/Wikimedia Commons

具体的事例の一つが、昨年末に量産を開始したばかりの最先端プロセス「18A(1.8ナノ級)」に関する報道だ。18Aプロセスに関しては、昨年夏の時点でタンCEOが歩留まりの不安定さに懸念を示しており、同プロセスを「自社製品の製造」に限定する方針を示唆していた。

しかし足元では、米国の投資銀行から「歩留まりは商業的な採算ラインである60%を安定して超え、競合であるサムスンの同世代プロセス(40%未満)を上回った」との分析が発表されるなど、技術進捗を示唆する情報も出てきており、タンCEOもこの結果を踏まえ「外部顧客への提供」に向けた方針の再転換を検討しているという。

現時点では18Aプロセスの外部顧客に関する公式発表は出ていないものの、有力候補とされるのがAppleだ。5月8日、米紙Wall Street Journalは、両社が製造委託について暫定合意に達したと報じた。

さらに、最も市場の期待値を高めたのが、イーロン・マスク氏が掲げる「Terafab(年間1テラワット規模の計算能力を生産する超大型のAI半導体工場)」構想への参画だ。

復活のカギを握るイーロン・マスクの“1190億ドル計画”

マスク氏は4月22日、テスラの決算説明会において、「Terafabの製造技術として、インテルの次世代プロセス『14A(1.4ナノ級)』を採用する」と明らかにした。

14Aについては一部で開発進捗の遅れも噂されてきたが、ジンスナーCFOは3月時点で「2027年リスク生産に入り、2029年に量産開始」という当初の計画通りに進捗していることを強調、マスク氏も「Terafabが本格稼働するころには、14Aはおそらくかなり成熟しているか、実用段階に入っているだろう」と、インテルの技術力に対する信頼を示した。