人類を攻撃するAIはフィクションか?

一方、AIのリスクや問題は、自動化によるコスト削減といったメリットを上回る恐れが高い。

イラン戦争では、AIを搭載したドローンが攻撃に使われた。米中などでは、軍事用ロボットの開発も進む。サイバー攻撃が起き、AIロボットが自律的に人間を攻撃することも想定される。ハリウッド映画のような世界が、現実に起きる恐れは高まる。

ビジネスの現場でも、深刻な問題が発生した。4月、米大手法律事務所のサリバン・アンド・クロムウェルは、裁判所に提出した書類の中に、AIのハルシネーション=幻覚を原因とする誤りがあったことを認め、謝罪した。カンザス連邦地方裁判所は、AIを使い架空判例や虚偽記載を行った弁護士に制裁を科した。

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写真=iStock.com/Thitima Uthaiburom
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生き残るのは「チェックできる専門家」

AIの利用が急速に進むと、正確性や正当性を担保する業務・人員が必要になるはずだ。そのコストは、企業が享受するメリットを上回る可能性がある。中長期的に考えると、若年層の雇用機会喪失の裏返しとして、専門家が不足することも考えられる。

AIの世紀、個々人にとって、AIの脅威への対応策を持つ必要性は急上昇だ。ポイントになるのは、経験や専門性など明文化できない“暗黙知”の蓄積だろう。それは、AIのアウトプットが、法令や社会通念に照らして正当かを判断するための要素の一つだ。

では、どのようにして、そうしたセンスを磨くか。それは、口で言うほど容易なことではないが、とにかく、学びなおしを重ねるしかない。一つの方策として、ものの考え方の基礎を知るきっかけとして、AIを活用することは有効だ。

その上で、AIが提示した論文などの出典を確認し、関心がある分野は原典の論文、専門書を読み込む。さらに、大学院などで研究を行うこともよい。そうした取り組みを重ねることで、より深い知見、洞察力を身に付けることはできるだろう。

AIを使うことで、プログラミング言語への習熟も行いやすくなった。AIによる業務代行、雇用機会減少などの脅威に対応するために、老若男女を問わず、新しい理論に習熟し、他者にはない発想を実現する。今後、そうした個人の実力がより重要になるはずだ。

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