IBMは5500億円のコストカットに成功
米国でも、AIが人間から仕事を奪い始めている。アマゾンは、AIによる業務運営で意思決定スピードを引き上げると表明した。昨年10月から今年1月だけで、約3万人の人員をカットしたようだ。
マイクロソフトでは、ソフトウェア作成のプログラムコードの30%をAIが担っている。さらに、顧客への提案など営業関連の分野でも、AIの利用が進んだ。昨年7月だけで、同社は9000人を削減した。さらに、2026年、米国で8750人程度の削減を予定しているようだ。メタも、業務の効率化とデータセンター投資資金の積み増しに、人員削減を加速させている。
IBMでは、勤怠、給与、雇用契約などの定例業務の94%をAIに代行させているという。2024年、コスト(主に人件費など)の圧縮効果は、35億ドル(5500億円程度)に上った。
5~7月期、ネットワーク機器大手のシスコシステムズは、AI事業の強化に4000人弱を削減すると明らかにした。パソコン、プリンター大手のHPは、AIによる自動化で人員が余剰になったとし、2028年までに最大6000人の人員を削減する方針だ。
ルーティン業務なら人間でなくてもいい
日本企業でも、AI導入で人員を削減する企業は増えている。一つの例はリクルートだ。昨年、同社は米国拠点のインディード、グラスドアの2社をはじめ、日欧でも人員削減を実施すると明らかにした。同社のケースは、わが国の企業としてはまだ少ない、AI導入による人員削減の例に位置づけることができる。
他の企業でも、AI導入による業務効率化の一環で、人員体制を見直すケースは増えた。大手化学製品メーカーは、AI導入による業務効率化を加速させつつ、50歳以上の従業員を対象に希望退職を募った。黒字であっても、AI導入でさらなる事業運営費の削減を徹底しようとする企業は増加傾向だ。
電機メーカーや金融機関でも、人事などルーティン業務の一部を、AIに置き換えるケースは増えた。その場合も、希望退職の募集という形でAI導入による余剰人員を減らしているのが実態とみられる。AIは明文化可能な業務(形式知)に関して、人間と同等の力を発揮しつつある。

