“聖地・芝公園”の1万人集会

参政党は選挙期間中も舌禍を起こし続けた。神奈川選挙区候補者の初鹿野裕樹が、抗議勢力に対して「ああいうのは非国民」と発言。

東京選挙区ではさやがネット番組で「核武装が一番安上がり」と発した。さやはさらに、支援者のホストクラブが投票済証明書で初回無料引換券がもらえるとしたキャンペーンにも感謝のコメントまでしてしまっていた。

しかし、悪名は無名に勝るをそのままに、この参院選は参政党の知名度が上がり続ける結果になった。情勢調査ではもはや、参政党の躍進は間違いないと出ていた。

25年参院選のマイク納めは22年と同じ、芝公園だった。

開始前には3年前と同規模の1万人ほどが集まっていたと思う。前回と全く違ったのは、デマや差別に抗議をする方々が押し掛けていたことだ。参政党をおちょくるような多彩なセンスあるプラカードが掲げられていた。

そして、それに匹敵する多数の報道陣がいた。そこらじゅうで何組ものテレビ局クルーがヘラヘラしながら、「あなたはなぜ参政党を支持しているんですか?」といったインタビューを撮っていた。頼むから肯定的な報じ方をしないでほしいと思った。

元ラグビー日本代表が演説

演説開始前、演台に臨む最前列に姿を見せたのは藤江成光。一般の人なら「誰やねんアイツ」となる反ワクチン配信者に向けて、まるでヒーロー来場を歓迎するかのような大拍手が起き、「藤江さーん! ありがとー!」と声が上がっていた。ここはそういう場所なのだ。

22年のマイク納めでは神谷が、「日本を舐めるな」の名言を放った。今日はどんな言葉が飛び出すのか。それだけを期待していたが、演説開始後から抗議のパワーがすごすぎて、それどころではなかった。公園入り口付近に設置されたスピーチのための舞台が、抗議のプラカードや旗でほとんど見えなかったのだ。

私は公園の中ほどから、参政党支持者らしきおば様2人と並んで見ていた。「あれじゃ見えないよねえ」などと声をかけられたので、「見えませんねえ。せっかく神谷さんの雄姿を見に来たのに……」と嘘をついた。私は潜入時には時々こういう戯れをやって自分を鼓舞することにしている。完璧に参政党支持者に擬態するのだ。本当はつらいけど、もう慣れている。

公園内ではそこら中で小競り合いが起きた。党スタッフが「アンチを相手にしないで」といった内容の注意喚起の紙を持ってアナウンスをしていた。抗議のプラカードを掲げて練り歩く人について回るスタッフがいた。ニヤニヤしながら「どうしてこんなこと(抗議)するの?」と絡む参政党支持者。

それを向けられた抗議者が「うるせえ。相手にしないでって注意書きが読めないのか。てめえはメロンパンでも食ってろ」と、つまり参政党的に「てめえは死ね」と同義の言葉をぶつけたりしていた。収拾がつかない状態になっていた。

比例候補者の演説では元ラグビー日本代表の後藤翔太がトップバッターだった。熱っぽく「私が政治に参加する意味は……」と言ったわずかな隙間に、抗議者たちが大声で「ありません! 意味はありません!」とツッコミを飛ばし、あまりのタイミングの良さに思わず聴衆もクスッとしてしまっていた。そんな激戦が延々と繰り広げられた。

参政党の神谷代表と後藤翔太参院議員
参政党の神谷代表と後藤翔太参院議員(写真=Noukei314/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons