なぜ参政党は、2025年参院選で躍進できたのか。参政党をウォッチし続けてきたライターの黒猫ドラネコさんは「党員全員に『自分が政治を動かしている』と錯覚させる、神谷代表の巧みな言葉のテクニックがあった」という――。

※本稿は、黒猫ドラネコ『参政党と大陰謀論時代』(文春新書)の一部を再編集したものです。

写真=共同通信社
参政党の神谷宗幣代表=2026年2月9日午後、国会

熱気に満ちた党員たちの憲法案

短い休憩を挟み、いよいよ「参政党員が考えた最高の憲法」のお披露目だ。全国各11ブロックから集まった方々が、「憲法案」を発表していった。持ち時間はそれぞれ5分間。スクリーンにスライドを映し、解説していくスタイルで進められた。

各支部ブロックの面々が「国防軍を置く」「米作りを中心とした自給自足」「絆を重んじる」「善を奨励し悪を戒める」などを披露し、司会の安達が短く講評していく。

目立ったのは「天皇のしらす国」という言葉で、「シラス」は党員の共通認識らしい。「天皇が国家元首」であり男系継承による世襲というルールも同様だ。「大事なのは天皇・皇室。GHQからの押し付け憲法で日本が未来永劫に続くのかと疑問が出た。創憲運動は大切」と中年男性党員による熱い語りもあった。

それでいてスクリーンに映された「シン・日本国憲法」の文字には「流行りのゴジラなどのトレンドで」という説明もあり、客席から笑いが漏れていた。全体的に空気が緩くなっていった。

「教育改革」案の中身

「神話を義務教育に入れる」と言い、スライドには「教育勅語、修身、日本古来の精神性を基本とした教育」との文字が並んだ。そして映された「都を京都に移す」の文字に、会場は大爆笑。ただ、それは現在の東京一極集中を解消する意図があるとした解説には、一転して感心の空気になった。「ほおぉ……」じゃねえんだよお前らは。

黒猫ドラネコ『参政党と大陰謀論時代』(文春新書)
黒猫ドラネコ『参政党と大陰謀論時代』(文春新書)

個人的に一番ヤバいと思ったのは教育制度の改革案だ。それが憲法なのかどうかはともかく、今の6・3・3・4の教育では、多様な人生は送れないという話だった。

発表した党員のおじ様は、戦前の教育制度の解説をしながら「小学校を出たあとに色んな階層で教育する流れで、早いうちから働いたりして自分の人生が選べるんですよね。若いうちから社会に出て多様なシステムで役に立つ人材が日本全体でできるのでは」とのご提案だ。

……ハァ⁉ 今も戦前と同じように小卒で働かせろってか? 何を言っているんだお前は……。いやいやいや、「おお……」じゃねえのよ観衆も。

思わず魂が抜けかけてしまい、次に私の意識が戻った時、スクリーンにはおなじみ「食料自給率100パーセントを目指す」との文字が踊っていた。もうダメだ。ずっとダメだけども。