「迷ったら、やめる」

当時のぼくは、小児がんの細胞をシャーレ(プラスチックの皿)の中で培養し、定期的に遺伝子を回収し、遺伝子の働きの強さを観察していた。英語論文を読んで、まず再現実験から始めたのである。

ところが、論文に書かれているような遺伝子の変化は確認できなかった。焦って同じ実験を繰り返し、すべて失敗に終わった。これは本実験の前段階の予備実験というものだったのだけど、その予備実験でぼくは準備を怠っていた。ちゃんとしたステップを踏むべきだったのだけども、ぼくはそれを端折った。

6カ月間、何の成果も出ないというのは、かなりつらい。高い授業料となったが、準備をすることの重要性を身にしみて知った。