カツオ節工場が一斉休業する事態に

鹿児島市の魚市場では、「カツオ漁に必要なカタクチイワシなどの餌を取る巻き網漁船が出漁を控えており、餌を確保できない一本釣り船が、漁港で待機していることが少なくない」といい、水揚げ量にも影響が出ているという。

燃油高は、生鮮カツオだけでなく、和食の要・カツオ節の生産にも支障を来している。鹿児島県枕崎市山川では、工場のボイラーを稼働させるために必要な燃油の高騰に加え、原料である遠洋漁場で獲れた冷凍カツオの価格も値上がりしているため、地区に16社ある加工業者のうち11社がゴールデンウイーク明けに一時休業する事態に陥っている。

鹿児島港で水揚げされたカツオ
筆者提供
鹿児島港で水揚げされたカツオ

魚流通用のさまざまな資材が値上げ

燃油高はマグロ、カツオ漁だけでなく、アジやサバ、イワシなど、大衆魚の生産・流通にも悪影響をもたらしている。

静岡県熱海市網代の定置網漁師は、「水揚げした魚を出荷するために使う発泡スチロールの価格が上がり続けているほか、原油由来の漁船用塗料が入手困難になるなど影響は小さくない」と嘆く。

定置網は網を固定して魚を待ち受ける漁法。網代の漁師は「経費がかさんでも、その分、魚を多く獲れるわけではないし、水揚げした魚を高く売れるわけでもない。どうしたらよいかわからない」と困り果てた様子だ。

遠洋船が漁獲し陸揚げする冷凍のマグロやカツオは水揚げされて最初に取引される港が数市場と限られており、供給量の増減によって相場が動く。これに対し、全国2000カ所以上あると言われる各地の漁港で水揚げされる小型の天然鮮魚は、地元消費のほか他県への広域流通など複雑なルートを経て最終消費である小売店や飲食店に運ばれる。

豊洲市場のような規模の大きい中央卸売市場で水産物を扱うのは全国34カ所。このほかに規模の小さな地方卸売市場が数百カ所点在しているため、競争が激しく、一部の高級魚を除いて買い手市場となっており、漁師のコストが魚価に上乗せされる余地はまったくないと言っていい。

さらに「魚より肉」の消費傾向もあって、特に天然・大衆魚の流通価格は低水準となり、都市部に流れにくくなっている。