原油高の影響で、マグロ漁が窮地に陥っている。時事通信社水産部の川本大吾部長は「遠洋マグロはえ縄漁船が利用する海外の給油地では、燃油価格がキロリットル12万円から一時36万円へと3倍に跳ね上がった。マグロを獲っても油代だけで利益が消え、これまでのように漁に行けるかわからないという声が上がっている」という――。
燃油高騰で厳しい操業を余儀なくされている遠洋マグロはえ縄漁船
写真提供=臼福本店
燃油高騰で厳しい操業を余儀なくされている遠洋マグロはえ縄漁船

一度の航海で燃油代が2~3億円もかかる

中東情勢の緊迫化による原油の供給不足や価格高騰の影響が、漁業・水産業に大きな打撃を与えている。大量の燃料を消費するマグロやカツオ漁などではコスト増で操業に支障が出ているほか、漁港や豊洲市場などの魚市場でも資材不足や経費増に頭を悩ます魚のプロたちが増えている。

「こんなに燃油が高騰したら、いくら稼いでも油代だけで消えてしまう。そもそも国際機関のルールに合わせてマグロの漁獲量には上限があり、獲る量を増やしてカバーするわけにもいかない」

宮城県気仙沼市で遠洋マグロはえ縄漁船6隻を保有する漁業会社・臼福本店の臼井壯太朗社長は、燃油の高騰で操業がままならない状況に苛立ちを隠せない様子だ。

臼井社長によると、一度で半年ほどの航海の間に使用する燃油は年間1000キロリットルほど。これまでも1億数千万円の燃料代がかかっていたが、イラン情勢の悪化で急上昇。給油地となるケープタウンでは、軍事衝突以前はキロリットル当たり12万円ほどだったのが3月には一時、同36万円に跳ね上がるなど、2~3倍に高騰した。4月以降も高止まりとなり、漁業経営を逼迫させている。