外国漁船のマグロが日本から欧米へ

マグロはえ縄漁船は大西洋やインド洋などでクロマグロやミナミマグロ、メバチマグロなどを獲り、船上で急速冷凍する。静岡県の焼津港や清水港、神奈川県の三崎港などに陸揚げして漁業者側が得られる対価は、年間1隻当たり3~4億円。燃油代が2倍、3倍になれば利益は上がらない。

ただ、昨年の終わりごろから、焼津港などの冷凍マグロ類の価格は上昇傾向にある。ミナミマグロの上昇幅はわずかだが、ウェイトの高いメバチマグロとキハダマグロは、昨年3月の平均価格が1キロ当たり700円前後だったところから今年3月は両魚種ともにキロ1000円を超え、5割ほど魚価が上昇した。

これについて魚市場関係者は「外国漁船のマグロが、日本よりも高く売れるヨーロッパやアメリカなどに流れたことで、供給量が減ったことが要因」とみている。

マグロの供給減で単価は上がったものの、この月に顕著になった燃油価格の高騰は上昇分を相殺している。人件費やさまざまな資材費などを含めると、むしろ赤字にもなりかねない状況だ。臼井社長は「せっかくいい兆しが見え始めたのに残念。油代の上昇分をマグロ価格に乗せられるわけではないから、これまでのようにマグロを獲りに行けるかわからない」と嘆く。

漁港や魚市場で行われるマグロ取引は、買い人が指で希望値を示す「手ヤリ」で落札する「競り」や、札などに希望値を示して高い値を付けた仲買人などが落札する「入札」によって行われる。

上場数量によって値動きはあるものの、生産者の経費などを含めて勘案した最低落札価格が提示されているわけではないから、コスト分が反映されることはない。

遠洋マグロはえ縄漁船が漁獲した冷凍マグロ
筆者提供
遠洋マグロはえ縄漁船が漁獲した冷凍マグロ

燃料代節約で早めに帰港する漁師も多い

一方、初ガツオシーズンで漁が活発化するはずのカツオの一本釣りにも、燃油高の影響が出ている。

一本釣り漁船が漁獲したカツオの水揚げ(宮城・気仙沼)
一本釣り漁船が漁獲したカツオの水揚げ(宮城・気仙沼)(筆者提供)

千葉県の勝浦港では昨年、宮城県の気仙沼港を抜いて29年ぶりに生鮮カツオの水揚げ日本一となった。しかしこの春は低調な漁模様で、漁港関係者は浮かない様子だ。「漁業者はカツオの漁場を探して数日船を走らせるが、燃料が高いため早めに帰港する漁師が多い」と話す。

そもそも昨年日本一になったといっても、全体として水揚げは低水準だった。今年4月にかけて不漁傾向は続いており、「まとまった漁場が見つかる保証もないため、燃油高の今は、最短で漁を切り上げる漁師が多いのではないか」と別の漁港関係者は説明する。