コロナ禍でも376億円配当を維持
JR東日本のローカル線を巡る状況を一変させたのは、2019年12月に発生した新型コロナウイルスの猛威だった。それまで順調な黒字経営を続けていた同社は、2021年3月期の決算で、経常利益が前年の3395億円の黒字から5798億円の赤字に転落した。
こうした状況を受けて、2022年7月に赤字35線区を公開した。合計の赤字額は2020年3月期で693億円、2021年3月期で670億円であったが、公開された線区の中には、貨物列車が走る幹線ルートである羽越本線や奥羽本線、上越線なども含まれており、これらの路線のうち県境などで特に利用者が少ない区間だけを切り出して公表していた。
しかし、赤字決算となった2020年度の決算で、株主に対して376億円を配当、再び赤字となった翌年も376億円を配当している。同社の外国人株主比率は、2021年3月期で27.4%となっており、2025年3月期は31.4%とこの4年間で4ポイント増加。配当金の3分の1近くが外国人株主に流出していることになる。
外国人株主が3割以上を占めるJR東
企業情報サイトFISCOで、上場鉄道会社に加えて、航空2社の外国人株主比率を調べたところ、JR東日本の31.4%が一番高いことが判明した。これは、短期利益志向の強い外国人株主にとっては同社の株式の購入が魅力的に見えていることの証左と言える。
東急 20.5%
京成 21.7%
近鉄 13.8%
名鉄 12.3%
阪急阪神 24.3%
JR東 31.4%
JR西 29.8%
JR東海 27.8%
JR九州 26.7%
ANA 11.7%
JAL 18.0%
外国人株主は短期利益志向が強いと言える。こうした株主利益を追求するためには、国鉄分割民営化の際に、もともとは鉄道用地として国から譲り受けた都心部の不動産開発に注力し、不動産事業よりも営業利益率が劣る鉄道事業に対しては、経営のインセンティブが働きにくい構造が生まれている。

