血糖値を上げない究極の日本の伝統の料理
ところで、インスリンの分泌を促す「野菜→魚→ご飯」という食べ順は、和食の会席料理と通じるものがあります。
インスリン分泌予備能が低く、インスリン分泌も遅れる傾向がある日本人にとっては、とても理にかなった食事形式です。先人の慧眼に驚きすら覚えます。
しかも会席料理は一品食べ終えてから、次の料理が運ばれ、その間の時間もあり、じっくりと時間をかけていただきます。
ゆっくり食べると満腹感を得やすく、食欲をコントロールし、過食を抑えやすくなります。実際、通常の食事がゆっくりな人は早い人に比べ、肥満になりにくい傾向があります。
会席料理は血糖値を上げない、理想的な食事スタイル。食べるときによく噛んで味わえば、まさに究極の食べ方です。ユネスコ無形文化財登録も納得です。
とはいえ、残念ながら、現代の日本人、とくにビジネスパーソンはじっくりと食事をする時間もないのが実情です。
外で食べることが多い昼食はともかく、せめて家庭ではゆっくり、よく噛んで食べる習慣を身につけたいもの。もちろん、食べ順は「野菜→魚(肉)→主食」です。
ある実験によると、野菜、たんぱく質、炭水化物をそれぞれ5分以上かけて食べると効果的だそうです。トータルで15分。家庭でも十分可能な時間です。
いくら栄養豊富でも夜の果物は絶対にタブー
ビッグミールになりやすく、血糖値も上昇したままになりやすい夕食では、とくに野菜を意識して最初にとったほうがいいことは間違いありません。ただし果物は、野菜と同じようにビタミンや食物繊維がとれますが、血糖コントロールが悪い人は夕食時にとってはいけません。
果物には、ビタミンや食物繊維だけでなく、各種ミネラルやポリフェノールなど、健康維持に効果がある成分が豊富に含まれています。
近年の研究では、野菜と果物を積極的に食べていると、胃がんや肺がんなどの発症リスクを低下させたり、認知機能の低下、動脈硬化などを予防したりする効果も明らかになっています。
厚生労働省・農林水産省作成の「食事バランスガイド」では、一日に果物200g(みかん換算で中サイズ2個分)摂取することが目標とされています。ところが現状、日本人の60%以上の人が不足しているそうで、積極的に取り入れたい食物ではあります。
ただし、果物は主に果糖が豊富に含まれています。果糖は体内に取り込まれると肝臓で10~20%がブドウ糖に変換され、残りは果糖として血中を回ります。そのため、血糖値の上昇は同じ糖類のでんぷんの20%程度に過ぎません。
しかし、血中のインスリンが不足していると、果糖から変換されるブドウ糖の量が増加し、血糖値を上げてしまいます。

