窮地の立つトランプ、余裕の習近平
5月14日と15日に予定される米中首脳会談は、会談に先がけ、中国がアメリカにパンダ2頭を貸与すると発表したことで、米中の2大国が手を握る会談になる可能性が高くなってきた。
中国からすれば、エネルギー源全体に占める石油への依存度は18.6%と少なく、イランの原油が中国のエネルギー源に占める比率はわずか1.6%に過ぎない。
その意味で、中国は、アジア各国の中では、イラン情勢を、比較的余裕を持って見られる立場にあるが、習近平が王毅外相に指示し各国外相と会談させ、早期停戦へと動いたのは、イランが中国と友好国であることに加え、トランプとの直接会談を有利に運ぶ材料にする意図があるからだ。
トランプは今、想像を超えるイランの抵抗で、短期決戦の青写真が崩壊し、停戦への道筋を見いだせていない。
そこで習近平は助け舟を出し、これまで幾度となく繰り返してきたアメリカとの関税戦争に区切りをつけたうえで、「中国の夢」と位置づける台湾統一について、トランプに、「これ以上、台湾に武器を売るな」「台湾は中国の一部。自国の問題に口を出さないでくれ」と譲歩を迫ろうとしているのだ。
「世界の新盟主」へ虎視眈々
同時に、ウクライナに対するロシア、イランに対するアメリカという軍事力に勝る大国の苦戦を「他山の石」として、台湾統一に動く前に、短期決戦で勝利するための準備にも全力を挙げているのである。
2月28日、アメリカがイランへの攻撃を開始して2カ月余り、中国は一貫して、早期停戦を求めながら、トランプを名指して批判することは避けてきた。そこには、国際社会に向け「世界の新盟主は中国」と印象づけるとともに、トランプから、中国の台湾統一に有利となるような言質を取りたいとする思惑も透けて見える。
その注目の首脳会談の前に、パンダの貸与が決まったことは、中国側が「この会談は中国にとってうまくいく」と値踏みしているからにほかならない。
