精神疾患によって起こる最悪の結末

10代・20代の若者たちのメンタルヘルス危機が深刻化している。それは、精神疾患によって起こる最悪の結末=自殺者の数が増えていることからも顕著だ。

自殺対策白書(令和7年版)によると、日本の自殺者数が全体的に減少傾向にある中、小中高生の自殺者数は過去最高水準で推移し、15~29歳の自殺者数は2020年以降3000人を超えて高止まりを続けている。ちなみに、この年代の死因順位第1位は「自殺」で、G7各国の中で最も高い。

自殺対策白書(令和7年版)

また日本精神科病院協会の調査では、少子化にもかかわらず、20歳未満の精神疾患総患者数は59.9万人(2020年)と増加が顕著で、1999年と比べ5倍以上増加している。

増加の背景には、コロナ禍の影響もあるようだ。

コロナ禍をまたいで実施された調査では、①コロナ禍中(2020年3月~2021年9月)に調査が実施された群は、コロナ禍前(2019年2月~2020年2月)に調査された群よりもメンタルヘルス指標(抑うつ症状と精神病様症状)の増悪が認められたこと、②この増悪は男子でより顕著で、抑うつ症状は初期の学校閉鎖期間後から2021年にかけて徐々に増悪したことが報告されている。

※東大病院「コロナ禍で思春期世代のメンタルヘルスが増悪 この影響は男子で顕著、支援策の充実が求められる

耳をふさいで、窓の近くで立っている男の子
写真=iStock.com/Jatuporn Tansirimas
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妊娠後期の感染が子供に影響する

コロナ禍のメンタルヘルスへの影響では、さらにショッキングなものもある。

精神科医の間では以前から、「妊娠中に母親が感染症にかかると、子どもが将来、精神・神経発達の障害を発症するリスクが最大7倍に高まる」という認識が共有されていたが、コロナにおいても、今年1月「妊娠中の母親が新型コロナ感染症にかかった場合、生まれてきた子どもが3歳までに神経発達に関する有害診断を受けるリスクが高くなり、特に、妊娠後期に感染を受けた時および生まれてきた子どもが男児であった場合、この傾向が最もはっきりしていた」との研究結果が公表されている。

Obstetrics & Gynecology147(1):p 11-20, January 2026.

無論、コロナ禍に胎児だったすべての子どもに障害が起きるわけではない。また起きたとしても、10年以上も先の話なのだが、将来的に「思春期の若者たちの間で精神疾患患者が爆発的に増えるかもしれない」「リスクが高い集団が存在する」という事実は私たちの社会に対して、今からでもさっそく、できる限りの対策を講じるべきであると示唆している。