魂抜き(たましいぬき)とは本来、お墓や仏壇、位牌に宿った先祖の魂を抜いて、単なる「物(木の箱や石)」に戻す仏教儀式のこと。ノンフィクションライターの古田雄介さんは「人形供養などの世界にも魂抜きがあり、アマゾンを通じて利用できるお焚き上げサービスの依頼件数も上昇傾向にある。その中には家族の遺品だけでなく、依頼者自身の思い出の品や、アクリルスタンド・装飾うちわといった“推し活”グッズも含まれる」という――。

※本稿は、古田雄介『それ、死後もお宝ですか?』(集英社インターナショナル)の一部を再編集したものです。

明治神宮に5万体が集まる

魂抜きの需要は、ここ数十年ほど安定して上昇している感がある。東京都大田区大森にある天台宗系単立の寺・本寿院で人形供養が始まったのは2002年のことだ。

関東圏の人形供養でもっとも動員力のある「明治神宮人形感謝祭」も1989年(平成元年)からと、比較的新しいものだ。戦後どころか高度経済成長期にも存在していなかった。

2025年10月に開催された「第37回 明治神宮人形感謝祭」の様子
2025年10月に開催された「第37回 明治神宮人形感謝祭」の様子(出所=『それ、死後もお宝ですか?』)
会場テントに掲げられていた解説文
会場テントに掲げられていた解説文(出所=『それ、死後もお宝ですか?』)

第1回の人形感謝祭ではおよそ6000体の人形が納められたが、主催の「人形に感謝する会」によると、2024年に開催した第36回では約4万5000体に及んでいる。さらに2025年に開かれた第37回の会場テントに掲げられた解説文には「本日納められる人形の数5万体以上が見込まれています」と書かれていた。

コロナ禍等もあり、単純な右肩上がりを続けていたわけではないものの、催し物としてすっかり定着しているのは確かだ。

アマゾンで買える「お焚き上げサービス」

そして、最近では通販サイト大手のアマゾンを通して利用できる供養サービスもある。草分けのひとつとして知られているのが、ベンチャー企業のクラウドテンが2018年から提供している「みんなのお焚き上げ」というサービスだ。

アマゾンや直販サイトで、お焚き上げしてほしいモノに合わせてサイズや形状を選んでサービスを購入すると、キットが届く仕組みだ。対象は人形だけでなく、写真やアルバム、財布や鞄、書籍や音楽CDなど幅広い。家電リサイクル法の対象物や危険物、遺骨などを除いて、不燃物も含めてあらゆるモノが対象となる。