米の国家備蓄を減らそうとしている
しかし、これは本質を隠すための言い訳だろう。
本当の狙いは「農業予算削減のために米の国家備蓄を減らす」ことにあると考えられる。
財政当局は米騒動の前から、備蓄米の保管にお金をかけるのはもったいないので、国家備蓄を減らして民間備蓄にしろ、と言い続けていた。
25年11月、財政審は「政府備蓄米の保管には年403億円の財政負担が発生しているが、流通段階にある民間在庫を『民間備蓄』として活用した場合、16億円で賄える」と提言している。
今回の食糧法改定はこれに基づく動きであろう。
しかし、食料危機が迫っているいまやるべき政策ではない。
米備蓄は「あと15日分」
昨年の米騒動でも明らかになったように、米備蓄はむしろ少なすぎる。
日本の米備蓄は100万トンと決まっているが、昨年の米騒動で備蓄米を放出したため、現在は約30万トンまで減少している。これは日本の米消費量の約15日分でしかない。放出した備蓄米を最大15万トン買い戻すという報道もあったが、焼け石に水でしかない。
この状況でホルムズ海峡が封鎖され、原油・肥料の輸入が止まり、国内の米生産は打撃を受けているわけだ。
これは危機的状況であり、この状況が続けば、日本人は本当に飢えかねない。
それなのに、政府には、「米の国家備蓄に金をかけるのはもったいないから民間備蓄を増やす」という考えしかない。
国民の命を守るという視点がなく、ただただ農業予算を削りたいという発想で頭がいっぱいになっている。増やすべき米備蓄をむしろ減らそうとしているのは、危機的状況に逆行する愚策と言うほかない。

