実質的な減反強化が進む
今、国会で、危機認識が完全に欠如した「食糧法」改正が行われようとしている。
今回の改定の柱は大きく分けて三つある。第一に「需要に応じた生産」、第二に需給見通しを精緻化するための「流通実態の把握強化」、第三に「米の国家備蓄を減らし、民間に任せる部分を増やす」という点だ。
まず「需要に応じた生産」とは何か。筆者の理解では、これは実質的な減反強化である。表向きは「生産調整」という文言を消し、あたかも減反をやめたかのように見せているが、国が需要見通しを出し、それに応じた生産(つまり減反)を自治体や農協を通じて促す仕組みを明記している。
今も「再生協議会」のような仕組みがあり、国からの「生産の目安」が個々の農家まで配分されているが、それを引き続き機能させ、ある意味では強化する内容になっている。
結局は「生産を減らせ」
政府は「需要は伸ばす。その伸ばした需要に合わせて生産するのだ」と言っている。しかし、現実には1人当たりの主食用米の消費量は減っている。そうなると、需要に合わせろというのは、結局、生産を減らせという話になるわけだ。
需要が減る中、価格を維持しようと農家が生産を絞れば、さらに減産することになり、結局は農家の首を絞めることにもなりかねない。
しかも、農産物の価格が高くなると、その分、海外からの輸入が拡大する。
実際、「米騒動」が起きた昨年には米の輸入が約95倍にも増えた。
つまり、この方式では仮に価格を維持できたとしても、国産の市場がどんどん狭まっていくわけだ。
もし輸入が途絶したら、国民は米さえ食べられなくなってしまう。今やるべきことと逆行した政策ではないだろうか。

