「流通の目詰まり」が原因ではない

2つ目の「流通実態の把握強化」について。

需要に応じた生産を達成するには、正確な需給見通しが必要になる。

昨年発生した「米騒動」は、米の需給の把握が不十分だったから起きたと政府は言い張っているわけだが、この「流通実態の把握強化」の方針も同じ発想に立っている。

具体的には、今後、流通段階の民間業者に対しては、保有している米の量について厳しく報告させるという。報告義務の対象業者を増やし、罰則も設ける。

しかし、流通とは需要と供給のさまざまな条件で刻一刻と変動するもので、そのすべてを正確に把握することなどできるわけがない。わざわざお金をかけ、業界の負担を増やしてまでやる意味があるのか。

そもそも昨年の米騒動は米の需要に対して生産量が少なかったから品薄が生じ価格が高騰した。政府の言うように流通の目詰まりが原因で起きたわけではない。

「流通の目詰まり」が原因ではない
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「流通の目詰まり」が原因ではない ※写真はイメージです

最大1億円の罰金

なのに政府は「米騒動を起こさないために、流通を監視する」と言っているわけだ。自らの誤りを糊塗するために、無理矢理、流通のせいにしようとしているとしか思えない。

やるべきことは流通の実態把握ではない。米の生産を増やさなければならないはずだ。

ところが、それをやらずに生産抑制を続け、そのために流通実態把握の強化などという、できもしないし、関係者に負担ばかりかける政策をやろうとしている。愚策というほかない。

3つ目が民間備蓄の問題だ。

今回の食糧法改正で、米の集荷業者や卸売業者には備蓄米の保有が義務づけられる。国の命令に違反した場合は最大1億円の罰金も科されるという。これについて、政府の公式説明では、昨年の米騒動において備蓄米の放出に手間取ったため、国が直接備蓄を持つのではなく、民間で備蓄してもらうようにするものとされている。