業績連動採用は大手で3割超
ところで、今ではボーナスは会社業績が反映され、昔のように「給与の何カ月分」という固定額をもらえる時代ではない。とくに会社業績や部門業績の反映度が高い管理職層は業績が下がると一気に下がり、赤字にでもなれば、ボーナスゼロという会社もある。だが管理職と違って非管理職の組合員層は最低額が保証されている。
現在、ボーナス交渉をしなくても済む「業績連動方式」を採用する企業が増えている。あらかじめ決めておいた計算式に経常利益などの業績数値をあてはめて賞与の支給額が自動的に決まる方式で、別名「デジタル方式」とも呼ばれる。1度計算式を決めてしまえば経常利益の増減によって支給額が決まり、その都度労使で交渉をする必要もない仕組みなのだ。
JFEスチールの場合、経常利益ゼロの場合の最低ボーナス額を120万円として、前年度の経常利益が100億円増減するとボーナス額が3万円増減する方式を導入している。組合員は赤字でも120万円程度は支給されるのだ。
また、電機のパナソニック、東芝、富士通、NECをはじめ大手企業の30%超が業績連動方式を導入。赤字や業績不振に苦しむ電機メーカーの場合、年間4カ月分のボーナスを保証することにしている。電機大手の賞与基本給は約30万円なので、年間120万円のボーナスは保証される計算だ。だが、パナソニックは組合員を含めたボーナスの2割カットを組合側に提案しており、その金額すら下回る可能性もある。
最低保証のある非管理職層はまだいいほうで、業績不振のしわ寄せをもろに受ける管理職のボーナスは悲惨の一言に尽きるだろう。
リフレ政策を推進する安倍政権はボーナス増で消費の活性化を期待したいところであるが、全体の平均は微々たる増加にすぎない。また、「物価の上昇に最も影響するのは所定内給与の引き上げであり、賞与を少し引き上げても影響しない」(民間エコノミスト)という指摘もあるだけに望み薄といえる。
気になるのは原料費や燃料費の高騰だ。輸入小麦を扱う日清製粉グループ本社のボーナスも下落。今後、鉄鋼業界はもちろん、ガソリンの値上がりが国内自動車販売にも影響を与える可能性もあり、1人勝ちだった自動車業界の先行きも楽観できそうにない。