湾岸諸国は攻撃を受けている
しかし、これは戦略的自制に過ぎず、法的制約ではない。イランに対し政治的交渉のさなかに先制攻撃したのは米国とイスラエルであり、両国の軍事侵攻に後方支援・兵站支援する第三国に対する攻撃は、カナニモガダムが主張するように、イランにとって正当な自衛権行使の一部である。
実際、サウジアラビア、UAE、クウェート、カタール、バーレーンなど米軍基地を置く湾岸諸国は既に激しい攻撃をイランから受けている。
英紙テレグラフの3月26日の報道によると、2月28日の開戦以降、イランが中東地域の軍事基地104カ所を攻撃し、このうち米軍基地13カ所は被害が大きく、部隊が生活できない状態になっており、駐留米兵は一部の基地から撤収し、現在、近隣のホテルや事務所で勤務しているという。
日本は米国のイラン侵攻に既に加担しているにもかかわらず、イランの戦略的自制により、攻撃を免れているだけである。
しかし、イラン指導層が空襲で次々殺害されており、後継指導者たちは一層過激化していると伝えられている。イランの戦略的自制がいつまで続くかは分からない。
「自衛隊の派遣」はあり得る
さらに、故安倍晋三元首相は90%以上の石油を中東に依存する日本にとって、ホルムズ海峡機雷封鎖は存立危機事態になり、自衛隊を出動させると主張した。
高市首相は安倍晋三への心服を公言している。茂木外相をはじめ日本政府が自慢するように、日本の海上自衛隊は世界最高水準の掃海能力をもつ。老朽化した自国の掃海艦船を中東から撤退させている米国は、本格的なホルムズ海峡掃海に乗り出す決断をした場合には、日本の自衛隊の掃海能力に期待を寄せるのは不思議ではない。
トランプは4月7日にイランとの一時停戦を宣言したものの交渉が決裂し、ホルムズ海峡逆封鎖という対抗策を打ち出した。しかし、ホルムズ海峡全面封鎖は、イランの石油収入を絶つだけでなく、中東産油国と中東の石油に依存する世界中の国々の経済を破壊し、米国にもそれが跳ね返るため、長く続けられるはずがない。逆封鎖策が持続可能性をもつには、米国の要求に従ってイラン指定航路利用を止めた諸国には、安全航行を米国が保証する代替航路を提供しなければならない。そのためにはイランの機雷を掃海する必要がある。米国が派遣している駆逐艦にも限定的な機雷掃海能力があるが、大規模な掃海には専門的な掃海艇と掃海部隊が必要である。そのためにトランプが海上自衛隊に掃海協力の圧力をかけてくる可能性を想定外にするのは許されない。
だがもし日本が自衛隊を出動させるなら、カナニモガダムが「見たくはない」と警告する事態が現実化するであろう。日本は既に米軍への出撃拠点提供でイラン侵攻への軍事協力をしており、自衛隊参戦もいまや「法律上できること」である。憲法9条の下で、この様な危険な状態に日本は置かれていることを、日本人は自覚しなければならない。

