「仕事を生きがいにする」は視野狭窄に
これは2013年に「ブラック企業」が新語・流行語大賞でトップ10入りするなど、「働き方改革」の気運が世の中で盛り上がり、2018年の働き方改革関連法の成立とその後の施行の中で社会実装されていったタイミングと一致している。
実際のところ2010年代後半以降、懸命に働くということは、やや時代にそぐわないスタイルとして受け取られてきた。これは過労死などの痛ましい事件に対して社会全体が問題意識を持ち、法律も含めセーフティネットが定められたという点では間違いなく前進だっただろう。
ただその一方で、この頃から、「仕事を生きがいにする」ということ自体が、なんだか少し視野狭窄な印象を持たれ始めた部分もある。
人生をもっと広い視野で見れば、面白いことややりがいのあることはたくさんある。そもそも日本人は働きすぎって言われているじゃないか。そんなに必死になる必要なんてなくて、生活するのに必要なお金が稼げさえすれば、後はプライベートを楽しもうよ――。
そんな時代の気分がこのデータからは透けて見えてくる。
生きがいが多様化する時代
前述の内閣府が実施している「国民生活に関する世論調査」では、生活の中でどんな時に充実感を感じるのかをたずねた項目もある。
こちらは8つの選択肢から当てはまるものをいくつでも選ぶ形式だが、「ゆったりと休養している時」と「趣味やスポーツに熱中している時」に充実を感じる人は2001年から2023年まで徐々に増え続けている(図表2)。
一方で、「仕事にうちこんでいる時」に充実を感じると答えた人は、2001年から横ばいが続いていたが、2014年の34.5%以降は減少傾向にあって、2023年には27.4%まで減ってしまった。
減少に転じたタイミングは、やはり前述の働き方改革以降、と考えてよさそうだ。
いずれにせよ、現代人の多くは仕事よりも私生活で充実感を得るように変化している。
「ゆったりと休養している時って、リラックスはするにしても充実感があるのか?」と思う人もいるかもしれないが、今は休養しながら楽しめるコンテンツがいくらでもある。
それに推し活も含め、確かに趣味に充実感、ひいては生きがいを感じる人が増えている。


