気概が込められた言葉
まさに怒濤の語り。それまでは、「です・ます調」で話をしていたのが、「だ・である調」に一変した。体温が1、2度上がった感じだ。口からぽんぽん言葉が出てくる。
そして最後に出てきた「克明に撮る」の「克明」という言葉の選択が味わい深い。まさに、そのように撮ろうとする、堀田さんの気概が込められている。
「僕は撮り始めた。まずは目。エメラルドグリーンなんだよ、綺麗な。鈴木さんに『この綺麗な目がどう動くか、触って動かしたらどうですか』と声をかけた。次に彼が胸ビレ、背ビレ、尾ビレなどを一つずつ観察するのを克明に撮った。
全部を撮り終えて、鈴木さんに『いいですか?』と言って終わりにした。さっきまで生きていたシーラカンスの生態として観察できるものは、全部記録したよ。
興奮しながらも、冷静な眼差しではいたね。プロフェッショナルとしての意識は、その時もあり、残りのフィルムを計算して撮影していた。いくら回しても平気な今のビデオとは違うから」
撮影シーンが終わると、堀田さんも落ち着いてきた。この後の述懐は、少ししみじみした口調となった。
僕の目にもオーラが見えた
「撮影するシーラカンスの傍らには、後で名前を知ったスーレ・アスマニ親子がいた。彼らはシーラカンスの口に(釣り針の)フックをかけてミッシーを持ったまま、超然としていた。決して『俺が獲ったぞ』と誇る顔でなく、じっとしていた。
中でもシーラカンスの目とオーラは鮮明に覚えているよ。エメラルドの目は、宇宙の天体と結びついているような気がした。シーラカンスから出ていたオーラは、天井まで噴き上がっていた。圧倒的にすごい、音を立てているように感じるほどだった。
あのオーラこそ、絶滅したとされたけど太古から生き抜いていた、シーラカンスそのものだったんじゃないかな」
エメラルドグリーンの目を見開いたまま、オーラを漂わせるシーラカンス。実に神秘的だ。シーラカンスから「オーラがぶわーっと立ち上がっていた」と最初に聞いた時、僕はどうにもピンとこなかった。
しかし、堀田さんが身振り手振りもまじえてする熱弁を聞いているうちに認識が変わる。脳内に再現したコモロのシーラカンスからもオーラが立ち上がってきた。生命力にあふれた生き物のみが持つ、強くて濃いオーラが。


