「急性肝炎」が見つかったケース
黄疸が疑われる場合は、血液検査でビリルビン濃度を測ります。同時に肝臓や胆道の画像検査を行います。放射線被ばくがなく簡便な超音波検査からはじめて、必要に応じてCTやMRIの検査を追加するのが一般的な手順です。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状が出にくく、黄疸以外の症状に乏しいことがあります。中高年以降の無症状の黄疸でとくに警戒すべきは、ビリルビンを排泄する経路である胆道をふさぐような「胆管がん」や「膵頭部がん」です。また、「急性肝炎」や「肝硬変」のような肝臓の病気で黄疸が生じることもあります。
以前、白目が黄色いことを家族に指摘されて受診し、急性肝炎の診断につながった患者さんがいました。軽い倦怠感や食欲不振は感じていたものの、それだけでは受診しようと思わなかったとのことでした。仕事が忙しいと、多少の体調不良は疲れのせいだと考えがちで、受診も後回しになりがちです。その結果、重要なサインを見逃し、診断が遅れてしまうことがあります。この患者さんの場合、白目の黄変に気づいた家族の一言が、早期診断・早期治療につながりました。
目に現れるさまざまな病気のサイン
少し専門的な内容になりますが、貧血や黄疸以外にも、目にはさまざまな全身疾患のサインが現れることがあります。黒目の縁に白っぽいリングが見える場合、多くは加齢によるものですが、若年者の場合は「家族性高コレステロール血症」の発見につながることがあります。
また、銅代謝の異常である「ウィルソン病」でも、角膜の褐色のリングといった特徴的な変化が現れます。
片側のまぶたが下がる「眼瞼下垂」は加齢によるものが多いですが、背景に筋力低下や神経障害がある場合もあります。「重症筋無力症」「糖尿病性神経障害」「動眼神経麻痺」「脳梗塞」「脳動脈瘤」といった病気が隠れていることもあり、見逃せない所見です。
眼球が前に出たように見える「眼球突出」やまぶたの腫れは、「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」でよくみられる身体所見です。
左右の瞳孔の大きさや光への反応に差がある場合は、「脳出血」「脳ヘルニア」といった緊急性の高い病態を示すサインであることがあります。救急の現場では、この瞳孔の変化が早期発見の鍵になることもあります。
こうした所見はいずれも、単独で診断を確定するものではありません。しかし「どこに問題がありそうか」という方向性を示してくれる点で、非常に価値があります。
