貧血の原因になる重大な病気
貧血には、原因があります。なかでも多いのが、ヘモグロビンの材料となる鉄が不足する「鉄欠乏性貧血」です。閉経前の女性に多いですが、中年以降では消化管からの慢性的な出血によって起こることも少なくありません。消化管出血は、「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」のほか、「胃がん」や「大腸がん」でも起こります。
実際、丁寧な身体所見によって貧血が見つかり、大腸がんの早期発見につながった患者さんもいます。その患者さんは、近所のクリニックをワクチン接種ために受診したところ、ベテラン医師が身体所見を行って貧血に気づき、消化管の精査をすすめ、私の勤務していた病院に紹介され、大腸がんが発見されたのです。
大腸がんは、進行すると腹痛や便の狭小化、血便などの症状が現れますが、早期の段階では自覚症状に乏しいことが少なくありません。ワクチン接種の外来では問診のみで身体診察を省略することもありますが、このケースでは丁寧な診察を行ったことが早期発見につながりました。
貧血の原因には、鉄欠乏のほかにも「慢性炎症」「腎機能の低下」「骨髄の異常」など、さまざまな原因があります。いずれにしても、まず貧血に気づかなければ精査には進めません。
白目が黄色くなる「黄疸」とは
目から得られる情報は、それだけではありません。白目(眼球結膜)が黄色く見えるとき、医師は「黄疸」を疑います。これは血液中の「ビリルビン」が増加した状態で、肝臓や胆道の異常、赤血球が壊れやすくなる溶血などで見られる症状です。
そもそも、ビリルビンというのは、古くなった赤血球が壊れるときに生じる黄色い色素。赤血球の中にあるヘモグロビンが分解され、その一部がビリルビンになります。このビリルビンは血液に乗って肝臓に運ばれ、そこで処理されて体外に排泄できる形に変えられます。その後、胆汁の一部として胆道を通って腸へと流れ、最終的には便として体の外に出ていきます。
この流れのどこかに異常があると、血液中のビリルビンが増え、黄疸が現れます。重度になると皮膚も黄色くなりますが、軽いうちはまず白目の色が変化します。ちなみに、ミカンやニンジンに含まれるカロテンを過剰に摂取した場合にも、皮膚が黄色っぽくなる「柑皮症」が見られることがありますが、白目は黄色くならないのが黄疸との鑑別ポイントです。

