家賃高騰の余波を受ける沖縄の高齢者
沖縄県が高齢者の生活状況調査を実施した際、筆者は住宅事情の分析を担当した。その調査結果を、参考までに概観してみよう。
沖縄県の持ち家率は4割台であり、全国で最も低い。つまり、賃貸住宅依存度の高い地域である。ここ数年は、リゾート開発などに伴い県外からの住宅投資が過熱し、民間賃貸住宅の賃料が急騰している。
人口が集中する那覇市内では、かねてより慢性的な住宅不足が続いているが、最近では、離島である宮古島の地価が高騰し、ワンルームマンションの月額の家賃相場が10万円を超えたことが大きな話題となった。
さらに、名護市では、2025年に大型テーマパークが開業した影響から賃貸住宅需要が高まり、家賃が上昇、手ごろな物件が市場から消えた。そのため、近隣大学に進学予定の30名もの学生が下宿先を確保できないことがニュースとなった。
こういった市場であるため、調査では、特に民間賃貸住宅に暮らす高齢者の不利が目を引いた。民間の賃貸住宅居住者では、「住まいが古くなりかなり傷んでいる」という回答のほか、「家賃等住宅に関する経済的負担が重い」という回答が持ち家や公的住宅居住者よりも多かった。
月収「5〜10万円未満」の半数以上が、さらに「貯蓄がない」世帯の6割以上が月額3万円以上の家賃を負担しているという実態も確認された。関連して、民間賃貸住宅に暮らす高齢者の6割が、経済的な暮らし向きが不安であると回答していた(持ち家では3割台)。
こういった結果に対しては、沖縄の住宅事情に詳しい調査検討会のメンバーからも、「どうやって家賃を工面しているのか」などと驚きの声が上がっていた。
高齢者が常に抱えている「退去の不安」
民間の賃貸住宅に暮らす高齢者は、持ち家や公営住宅居住者と比較して、仕事に就いている割合が高かった。ここから、家賃を含めた生活費の獲得のための就労を余儀なくされる人々の実態が浮かび上がる。
本調査では、身体機能が低下したり、健康状態が悪くなったりした場合にどこで暮らすかという問いを設定した。持ち家や公営住宅では、サポート等を受けながら住み続けるという回答が6割と高くなっているのに対し、民間の賃貸住宅では「住み続ける」という回答は3割に留まり、その多くが「介護保険で入所できる施設」を選択していた。
とはいえ、それは消極的な選択、つまり、住み続けたくても住み続けられないことを予想しての判断であると筆者は推測している。
オーナー側が入居する高齢者の孤独死などを懸念すれば、次回の更新はできないかもしれない。また、身体機能が低下しても、民間の賃貸住宅でバリアフリー工事などをする場合には、オーナーの承諾が必要になる。しかし、その理解が得られない、あるいは、改修の相談をすることで、かえってオーナーが入居者の虚弱化を問題視する可能性もある。
いずれにしても、民間の賃貸住宅に暮らす高齢者は、常に退去の不安を抱えながら生活しているのだ。


