孤独死、意思能力の喪失というリスク
2023年の宅地建物取引業協会連合会(宅地連)の報告によると、単身高齢者への物件のあっせんについて、「行っていない」が19.6%、また、「高齢者世帯の諸状況により判断している」が66.7%であり、「積極的に行う」という回答はわずか13.7%にとどまった。
その理由としては、「オーナーの理解が得られない」という回答が半数を占め、その他、手間やリスクを挙げる事業者が多い。
同調査では、オーナーの理解が得られない理由として、やはり、孤独死(約9割)や認知症の発症など、意思能力を喪失した場合(7割強)の対応の難しさが挙がっていた(公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会、公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会「高齢者等住宅確保要配慮者の居住支援のあり方に関する研究報告書」2024年)。
そうした中で、単身高齢者向けに紹介される賃貸物件は、リスク回避の側面から、市場では取り引きされにくい狭小で旧耐震基準、断熱性能が低いなど、低質な住宅になる可能性があることも指摘しておかなくてはならない。
高くなりがちな民間住宅の家賃
にもかかわらず、公営住宅などと比較して、民間賃貸住宅に住まう高齢者の住居費は高くなる。
前掲の総務省の調査によれば、1カ月あたりの平均賃料は、公営住宅で2万4961円、URや公社住宅では7万1831円、民間の賃貸住宅では、非木造が6万8548円、木造でも5万4409円である。さらに1畳当たりの賃料を見ると、公営住宅が1246円、URや公社住宅が3633円であるのに対して、民間の賃貸住宅の非木造は4151円、木造でも2916円と高い。
公的住宅では、国が定める最低居住面積水準(単身者の場合は25平方メートル、2人以上の場合は10平方メートル×世帯人数+10平方メートル)などに準拠して、入居者を選定している。例えば、2024年時点で、大阪の府営住宅の場合には、55平方メートル以上(2DKや3LDK)の住戸は2名以上、69.5平方メートル以上の3LDKは3名以上、4寝室ある住戸は4名以上の世帯向けに供給されている。
なお、単身世帯に対しては、55平方メートル以下の物件が供給される。大阪府営住宅では、1住戸あたり39.65平方メートルが最小延べ床面積であり、これは単身者専用住戸として割り当てられる。
ちなみに、大阪府営住宅の総戸数は11万2000戸であるが、そのうち単身者専用の1寝室住戸は1298戸と少ない。そのため、広い住戸でも、単身者を受け入れることとし、2寝室住戸のうち3万439戸、3寝室住戸のうち1万3953戸、2025年3月末時点で、計約4万5000戸を単身者向けとしている。
一方、民間の賃貸住宅には、住戸と世帯人数をマッチングさせるための最低基準はない。

