「やらされ仕事」から「自分の仕事」へ

具体的には、次の手順に従って、部下に質問を投げかけていきます。

【ステップ①】「Goal」(目標設定)
意味のある目標を作る質問

目標設定の本来の目的は、部下を管理したり統制したりすることではありません。

組織や個人が進むべき方向性を示すことが、本来の役割です。

優れた上司は、一方的に目標を押し付けるのではなく、部下自身が納得感のある目標を言葉にできるよう、適切な問いかけを行います。

部下が自分の言葉で語る目標は、受動的な「やらされ仕事」を、主体的な「自分の仕事」へと変えていく力を持っています。

上司は、具体的な対話を通じて以下の要素を明らかにしていきます。

①5年後にどんな状態になっていたいですか?
②なぜ、その目標を達成したいのですか?
③何をもって達成と考えますか?
④目標達成は何をもたらしますか?
⑤達成できる確率は何%ですか?

まず5年後にどのような状態になっていたいかを部下に問い、中長期的なビジョンを描かせます。

次になぜその目標を達成したいのかという内発的な動機を掘り下げて、何をもって目標を達成したと見なすのかという判定基準を明確に定義させます。

その目標達成が自身や周囲にどのような価値をもたらすのかを具体化させた上で、現時点で達成できる確率が何パーセントであるかを部下自身の感覚で提示させて、実現可能性を検証します。

優先順位を判断するのは人間にしかできない

【ステップ②】「Reality」(現状把握)
現状認識と問題点を確認する質問

次に必要なのは、冷静に現状を認識することです。

多くの上司は、現状を十分に把握しないまま即座に解決策を提示しようとしますが、世界の一流の上司は対策を講じる前に必ず一度立ち止まります。

AIは客観的なデータを提示できますが、「何が重要か?」という優先順位を判断するのは人間にしかできない役割です。

ビジネスメンターが若くて熱心な従業員にサポートと指導を提供
写真=iStock.com/Suwatchai Wongaong
※写真はイメージです

この現状を直視するステップを積み重ねることは、リーダーとしての判断力を鍛える訓練にもなります。

①現在、目標の何%まで進んでいますか?
②目標達成のために、どんな行動をしていますか?
③何か問題に直面していますか?
④問題が起こっている原因は何ですか?
⑤どんなリソースがあれば目標に届きますか?

具体的な現状把握においては、まず目標に対して現在何パーセントまで進捗しているかを正確に確認して、その目標を達成するために現在はどのような行動をとっているのかを整理します。

その次に、進行を妨げている問題の有無を明確にし、その問題が発生している根本的な原因を特定し、目標に到達するためにどのようなリソースが不足しているのかを洗い出します。