「将来の後悔を最小限に抑えよう」
では、NISA貧乏に陥らないためにはどうすればよいのでしょうか。それは、自分にとっての幸せなお金の使い方を知り、「今」と「将来」のバランスを最適化することです。
一般的に資産形成は、次の式のように手取り収入から生活費としての支出を引いた金額とすでに保有している資産を運用していきます。
「将来」を優先するのであれば支出をできるだけ抑え、「今」を優先するのであれば可能な範囲で好きなだけ支出していくことになります。前者がまさにNISA貧乏、後者は「宵越しの銭は持たねぇ」という江戸っ子です。
これらは両極端ですので、一般的には、これらの間でご自身のライフプランに応じて「将来」と「今」のバランスを取っていくことが大切です。
ここで筆者が最近読んだ本にあった言葉をご紹介しましょう。
「良いアドバイスとは、『今日を大切に生きよう』または『将来のために貯蓄しよう』といった単純なものではない。唯一の良いアドバイスは、『将来の後悔を最小限に抑えよう』である。」
出所=『アート・オブ・スペンディングマネー 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(モーガン・ハウセル)
定年後に1.3億円は必要か
筆者はファイナンシャルプランナーとして様々なご相談をお受けしています。60代以降でも多額の資産を保有し続けている方がいらっしゃいます。例えば、DINKSのご夫婦で定年退職を目前にして、気づくと1億3000万円貯まっていたという方がいらっしゃいました。
共働きということもあり、企業年金を含めて老後の年金収入は十分に確保されており、60歳以降も終身で家計収支は黒字になる見込みでした。若い頃からもう少し生活水準を上げ、人生を楽しむためにお金を使っていくという選択肢もあったかもしれません。
ここで多額というのは単純に金額ではありません。年間300万円で暮らしている方にとっては3000万円が多額かもしれない一方、年間1000万円を使っている方にとっては7000万円でも不十分かもしれません。生活水準と、収入や資産のバランスを考えた時に、極端になっている状態が「多額」なのです。
人生の後半に多額の資産を残して亡くなられる人が多いという現実があります。「将来」と「今」のバランスをしっかり考えていかないと、高齢になってから後悔する可能性が高まるのです。
私たちはつい「将来のため」と貯蓄や投資を優先しがちですが、若い時には若い時しかできない経験や体験もあるでしょう。幸福感という観点では、旅行や学習、友人との食事などの経験にお金を使うと、満足度が長続きする傾向があると言われています。
その時その時にしかできない経験を大切にしながら、長期的な視点でお金と向き合っていくことがより幸せな人生と言えるのではないでしょうか。


