本当のゴールは「お金持ち」ではない

このように今と将来のバランスを保ちながら、私たちが本当に目指すべきお金のゴールとは何でしょうか。筆者は「ファイナンシャル・ウェルビーイング(Financial Well-Being)」だと考えています。

これは単にお金がたくさんあること(客観的な状態)ではなく、「お金の面で現在も将来も安心して、自分らしく多様な幸せを実現できている状態(主観的な満足度)」を指します。

ファイナンシャル・ウェルビーイングには、大きく分けて以下の4つのポイントがあります。

・ 家計管理:毎月の支払いをしっかりと管理できている
・ ショック対応:急な病気や失業などの金銭的ショックに耐えられる
・ 将来見通し:子どもの教育費や老後などの目標に向け、資金計画が軌道に乗っている
・ 選択の自由:人生を楽しむために、お金の面で幅広い選択ができる

【図表2】良好な資産状態に必要な4つのポイント
筆者作成

まず安心感という意味では、日々の家計管理をしっかりと行い、将来のリスク(世帯主の死亡や長期就業不能、マイホームの火災など)に備えられていることが大切です。その上で、将来のライフイベントに向けた資金計画を立て、それに向けて進捗していること、そして人生を楽しむためにお金の面で幅広い選択を持てる状態、これがファイナンシャル・ウェルビーイング(お金の面で満たされた状態)と言えます。

資産額が同じでも幸福度が違うワケ

興味深いことに、資産額が同じであっても、お金の知識(金融リテラシー)が高い人ほど、このファイナンシャル・ウェルビーイングの満足度が高くなるという調査結果もあります。つまり、ただ闇雲に預金額や投資額を増やすことより、自分のお金と上手に付き合う「知恵」を持つことの方が幸せへの近道と言えるのです。

ファイナンシャル・ウェルビーイングを実現するために最も大切な考え方が、「足るを知る」ということです。

「1億円貯めなければ」「もっともっと増やさなければ」と他人と比較し、際限なく上を目指しても、心はいつまでも満たされません。大切なのは、周りの声に惑わされるのではなく、自分が「どのくらいあれば満足できるのか」という自分なりの基準(等身大のライフプラン)を持つことです。

「豪華客船の旅でなくても、夫婦で近場の温泉旅行に行ければ十分幸せだ」「高級スポーツカーでなくても、レンタカーで恋人とドライブできたら幸せだ」と心から思えれば、過剰に投資に走りすぎることもなくなるのではないでしょうか。

温泉
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです