「記憶力が生んだ巨万の富」W.バフェット
ウォーレン・バフェット(1930~)
投資家ウォーレン・バフェットは、かつてビル・ゲイツとともに世界の富豪トップを争った人物として、一般によく知られている。そしてゲイツとその妻、メリンダによると、バフェットは彼らが知る中で最も賢い人物だという。
バフェットは、アメリカのネブラスカ州オマハで生を受けた。幼少期からお金に興味を持ち、6歳にしてコーラ配達で小遣いを稼ぎ、11歳で株式投資を始めた。
その卓越した投資センスは、教師たちがバフェットに取引銘柄を尋ねるほどで、彼は高校生にして教師たちより高い収入を稼いでいたという。20代でオマハにオフィスを開いた彼は、現在もずっとそこから動かず株式投資を続けている。つまり、若いころから延々と同じ生活をしているのだ。
バフェットは朝起きると、車で20分ほどかかるオフィスに出勤する。その途中で、マクドナルドのドライブインで朝食を調達するのが日課だ。会社に到着すると、オフィスで5~6時間は新聞や本、市況関連の情報を読む。一般的な人とそう差のない、かなり地味な生活パターンである。
だが、バフェットにはひとつ、凡人とは異なる点がある。
彼は、自分にとって重要な情報を丸ごと暗記してしまう習慣を持っているのだ。
これは幼いころからの日課であり、特に好きなのは数字である。バフェットは小学生時代から、オマハの人口など、多くの統計資料を暗記していた。おかしな習慣だが、とにかく彼はずっと昔から数字が大好きだったのである。
記憶し、関連付け、連想する
大学時代には教科書の内容を丸ごと覚えてしまうほどで、投資家となってからも数多くの企業の純利益や売上高などを頭に入れていた。
彼の自伝『スノーボール』には、この習慣こそが自分の成功を決定づけた、としているくだりがある。どういうことだろうか?
大衆が持っているバフェットのイメージは、巨大企業になる前の有望株を「一本釣り」して、長期投資の末に大金持ちになったというものである。
だが実際には、バフェットは膨大な数の銘柄情報を緻密に分析して投資する手法をとっていた。
たとえば株式市場には多くの銘柄が存在するが、その中で100社の情報を分析するとしよう。普通の人なら、銘柄情報を次々に閲覧しているうちに、さっき見た企業の情報など忘れてしまうだろう。こうなると投資対象を比較・分析するのは難しい。
だがバフェットのように、それらを記憶していれば、頭の中でそれらの情報を関連づけて考えることが可能になる。たとえば決算書を見ながら、「この会社は赤字だが対前年比で赤字が減り、売上は増加した。投資を考慮しよう」「この会社は今年純利益が急激に増加している。なぜだろう?」こんな連想が、容易にできてしまうのだ。

