年収300万円でも「一人でいる方が楽」

【上野】宮本みち子さん達の共著に『東京ミドル期シングルの衝撃 「ひとり」社会のゆくえ』(東洋経済新報社 2024年)という面白い本があります。ミドル期とは35歳から65歳までを指すとか。ミドルといっても年齢の幅が広いのです。

その人の現状を調査した結果、男女とも年収は300万円台と総じて低いのです。都内では一人で暮らすのにしてもカツカツですよね。男性はなんとか一発逆転して女をゲットしたいと思っています。

一方、女性は現状に満足していて、このままシングルを続けたいと現状維持を望んでいるケースが目立ちます。一人でいる方が楽だし、生活ペースが乱されない。下手に結婚しても、夫がリストラされるかもしれない、介護もついてきます。誰かの人生に翻弄されるより、自分が納得して生きていきたいという思いが強いようです。

あえて独身を選ぶ人が増えている

【アグネス】女性の方が慎重なんですね。でも結婚以前に恋愛に関心がないという人が増えているのではありませんか?

先日、原宿に行ったんです。カップルは少なくて、グループで行動している人がすごく多かった。結婚しなくてもいいから、恋愛してくださいって思います。人を好きになって初めてわかることがたくさんあるから。

上野千鶴子、アグネス・チャン『報われない社会で、それでも生きる』(Gakken)
上野千鶴子、アグネス・チャン『報われない社会で、それでも生きる』(Gakken)

【上野】それはそうですが、誰もが恋愛できる、する時代ではなくなりました。

【アグネス】片想いだっていいんですよ。もっと大胆なことを言えば、結婚するチャンスがあったら、失敗したっていいから結婚した方がいいと思うんですよ。

今は離婚しても、あの人は失敗したというレッテルを貼られる時代ではないのですから。

【上野】そこは自由になりましたね。離婚しても人生の敗残者とは思われなくなりましたし、独身でいても男に選ばれないかわいそうな人だというレッテルを貼られる時代ではなくなりました。だから堂々と自分の意思で非婚を選ぶ人が増えています。

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