漢学だけでなく蘭学にも国際情勢にも通じる

軟弱で使いものにならない旗本が多い中にあって、小栗忠順は幼い頃から文武に勤しみ、見事な成績を収めていました。剣術は直心影流を学び、10代で免許皆伝を授けられており、海舟とは師は異なりますが、流派はいわゆる同門でした。

剣術だけでなく、小栗は勉学にも励みます。彼の師匠は朱子学者の安積艮斎あさかごんさいですが、艮斎は漢学だけでなく蘭学にも、国際情勢にも通じていました。

艮斎は昌平黌の教授に抜擢される以前、駿河台の小栗家の屋敷内の長屋で、私塾「見山楼けんざんろう」を開いていました。このおり、海防論についての名著『洋外紀略ようがいきりゃく』も発表しており、のちには吉田松陰や高杉晋作、岩崎弥太郎いわさきやたろうなども門下生として学んでいます。