中東から調達する原油の9割が経由するホルムズ海峡の安定は、日本にとって死活的に重要だ。安全保障関連法の存立危機事態を認定すれば、集団的自衛権の行使が可能になり、機雷撤去や有志国によるゾーンディフェンスに当たることができる。重要影響事態と認定すれば、米軍などへの後方支援活動が可能となるが、いずれも支援する相手国が国際法を遵守していることが前提になる。今回の米国のイラン攻撃は国際法違反の疑いが強く、政府も法的評価を避けている。
日米首脳会談に同席した茂木敏充外相は3月22日のフジテレビ番組で「日本の機雷(掃海)の技術は世界でも最高だ。停戦状態になって機雷が障害になっている場合には考えることになる」と述べたが、日本が法律の範囲内でできるのは、自衛隊法84条の2に基づくこうした遺棄機雷の除去にとどまるのだろう。
「憲法9条を使って逃げている」
憲法9条改正を掲げてきている首相が、その9条を盾にトランプ氏の艦船派遣の要請をかわしたことに複雑な反応もある。
橋下徹元大阪府知事は、3月22日のフジテレビ番組で「高市さんらは『憲法9条が日本をダメにしてきた』と言ってきた。今回、トランプ氏に真正面から議論できないと言って、9条を使って逃げている」と批判し、与党が改憲に取り組むチャンスだとの考えを示した。
自民党の長島昭久衆院議員(安全保障調査会副会長)は、3月25日のブルームバーグのインタビューに「ホルムズ海峡に自衛隊を派遣し、日本関係船舶だけでなく他国の船舶も護衛することが日本の国益に資する」「自衛隊の役割を拡大する特別措置法の制定が必要だ」との認識を示した。「日本やアジア諸国のエネルギー需給がひっ迫すれば、停戦前に派遣が必要な状況になる」とも説いている。
永田町では、改憲派からも、事実上閉鎖が続くホルムズ海峡に自衛隊の艦船を派遣できるよう、憲法と関連法を改正すべきだとする声は大きくなっていない。
高市首相は4月7日の参院予算委で、「米国、
日本には232日分の石油備蓄がある。今は事態を認定するまでの切羽詰まった状況ではないとの判断が働くが、このまま法的に対応しないという選択肢はないのではないか。
トランプ氏は6日の記者会見で、
日本の外交・安保政策、日米同盟のあり方が改めて問われている。


